想像を遥かに超えていた|花組『Goethe(ゲーテ)!』を観て

花組 梅田芸術劇場メインホール公演『Goethe(ゲーテ)!』をライブ配信で観ました!!

以前から、期待を寄せていた作品。

のぞさんをはじめ、さまざまな方々が観劇の感想を発信されていて、その絶賛にとんでもなくハードルが上がり続けていたのですが…

想像を遥かに超えていました…

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今の宝塚歌劇で、こんな作品ができるのだと、女性だけの世界で唯一の劇団でこんな作品が創り上げられるのだと、キャストの実力、脚本力、舞台芸術すべてに感動しました(;_;)

それにしても、この作品は本当に宝塚歌劇によく合ってる!!
2021年に初演として上演されたドイツ版に添った演出、ストーリーなのか、それとも植田景子先生が宝塚仕様に手を加えられたのか…

もう、当て書きかと思う位にキャスト1人ひとりの持ち味に、とても重なる素晴らしいキャスティングでした。

常に周りに星が瞬いているような永久輝せあさんの、青く純粋な輝きを湛えたヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ。

圧倒的ヒロイン力と歌唱力で「作品を引き上げた」星空美咲さんの、快活で心温かく聡明なロッテ。

繊細で今にも壊れそうな聖乃あすかさんの、ヴィルヘルム。

冷徹なだけではない人の心を宿した、美しすぎる侑輝大弥さんのアルベルト。

艶やかで愛の苦悩に満ちた、圧巻の女役・美空真瑠さんのマルガレーテ。

圧倒的な存在感で、全部持っていく「仕上がっている」夏希真斗さんのメフィストフェレス。

そして、花組の皆さんの高度なお芝居力と歌唱力、高翔さんの重厚感と安心感のある舞台姿…

すべてが一体となり、このほぼ「歌オンリー」なザ・ミュージカルが、作品そのものが生き物のように躍動していました。

ネタバレになりますが…

2幕の終わり、星空美咲さんが永久輝せあさんの独房に駆け込み、彼の書いた「若きウェルテルの悩み」の結末への想いを涙ながらに絶唱する場面…

ここから、私の涙腺は完全に崩壊しました…(;_;)
「私は田舎でパンを焼き夫と食べ、夜はまた眠るだけ」「そんな生き方、あなたらしくない!!!!」

ロッテにも夢があった。「天使の歌声」も持っていた…でも、ゲーテのように自由に生きられない。
だから、せめてあなただけは、思いきり大空に翼を羽ばたかせてほしい…!!!

そんなロッテの真実の愛、ウェルテル(ゲーテ)への愛が、「本当の結末」に導いていったように感じます。

友をなくしたことも、愛する人と共に歩むことができなくなった絶望も、すべてが作品に昇華し「文学」を生み出した。

何一つ欠けてもここに辿り着けなかったと思えるくらいに、彼の人生の中で重要なターニングポイントの連続で、作品に昇華することで彼は生きる希望を見出していく…

とてつもなく深くて、でも普遍的で…

この脚本が、本当に沁みました。
「答えは、一つじゃない」と力強く教えてくれているようで…

この作品を観るタイミングやその時の年代などによって視点が変わり、受け取るメッセージが変わりそうだと、心から感じました。

私が20代だったら、やっぱりトップコンビに感情移入したかもしれない。

40代の今は、トップコンビはもちろんですが、さまざまな登場人物の視点で観て、「幸せとは何か、大切な人に何を願うか…」と自問自答を繰り返して…
後半は特に、心が掻き乱される思いでした。

こんなにも作品に没入して観る感覚、久しぶりな気がします。

そして、それを叶えてくれたのはトップコンビのとてつもない歌唱力と表現力がベースにありました。
何一つ、「引っ掛かり」がない。ただただ、その世界に身を委ねられる心地よさ…

そして、花組の皆さんの全ての力の結集。

これに尽きます。

下級生に至るまでご自身の役に集中し、クオリティを上げ続けておられる鍛錬、熱量、輝きを感じました。

これから花組は、これまで以上にとんでもなく人気組になりそう。

涙が溢れて止まらなくて、こんなにも感情が揺さぶられる舞台を映像を通してでも観られたこと、幸せです。

とてつもなくハードな作品だということが、画面越しにもひしひし感じられましたが、12月11日(木)の大千秋楽まで、どうかこの作品の世界で花組生の皆さん(&高翔さん)が生き生きと躍動されることを願っています…!!

素敵な作品を、ありがとうございました!!

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