星組「ANTHEM-アンセム-」が見せた未来|礼真琴さんが残してくれたもの

星組公演 礼真琴 日本武道館コンサート『ANTHEM-アンセム-』
総合演出・ステージ制作/大田 高彰(インターグルーヴプロダクションズ)
構成・演出/竹田 悠一郎

本日、無事幕をおろされましたね。

皆さまのレポで、「アンセム」のBlu-ray発売、そして回替わり曲も収録されるとのお知らせを聞いて、歓喜しています( ;∀;)

何だか、あっという間だけれど、濃厚な4日間だったなぁ…

時間変更という事態に、心がざわざわした初日。本当に驚いたと同時に、観れなくなった方のことを思うと切なくなって…宝塚歌劇を観るために、毎回遠征している身として言葉にならなかったです…

無事に幕が開いてほっとしたけれど、直前の開演時間の変更によって多くの方々がそれぞれにご苦労があったことでしょう…

2日以降は、滞りなくステージが繰り広げられ、ほっと安心して…

生で体感することは叶いませんでしたが、ライブ配信、シアタービューイング、そして皆さまのレポ。全部が合わさって、ずっと心は武道館でした。

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アンセムが始まってずっと思っていたのは、ワクワク期待が高まっていた「アンセム前」そして、アンセムをついに体感した瞬間、そして「アンセム後」

こんなにも余韻に浸れて、それだけじゃなく背中を押されるような、力が漲る感じ、心の中に温かさが残る感じ…

これまでの宝塚歌劇を体感した後の感覚、どれとも違っているなぁと…。

いつもの宝塚歌劇は、ときめきや夢をいっぱいに浴びて心から充足感をもらえる感じなんです。

でもアンセムは、前に進む力をもらえたような…。

物凄く「私も頑張るよ」の気持ちが、これまで以上に漲るというか…

礼真琴さんという存在そのものが見せた「未来」が、余りにも眩しくて、美しくて、パワーに溢れていた。

こっちゃんがなぜ(竹田先生と共に考えられたと思うのですが)この「応援歌」を主軸にしたセトリにしたのか、新たな演出に挑戦しこのようなパフォーマンスをしてくれたのか、その背景が物凄く伝わってくるコンサートでした。

ただただカッコいいとか、可愛いとか、凄いとか、巧いとか、そういうシンプルな感情も常にフル回転で渦巻くのですが、何だか今回はとにかく「尊い」という言葉がずっと心の真ん中にありました。

礼真琴さんのファンになれてよかった、出会えてよかったと心から思ったし、こっちゃんがこれからを見据えてすでに宝塚旅立ちの日、その先にもその眼差しは向いているのかもしれないなとも強く感じました。

実は先週末に、あるラジオに柚希礼音さんが出演されていたんです。

いわずもがな、こっちゃんが宝塚歌劇を目指した憧れの方ですね。

私にとっても、第2次宝塚ファン時代の中心にはちえさんが居ました。

今では同世代の女性として、ご自身の道を真っ直ぐに歩まれている輝きや進化、その生きざまにいつも刺激をいただいている存在。

そんなちえさんの、初めてのエピソードを聞きました。

それが「声帯の手術」

男役を追求する中で、喉も酷使されてきたのでしょう。

宝塚歌劇団を退団後に声帯の手術を受けられ、「もう歌は歌えないかも…」と思われた時期もあったのだそう。

ですが、少しずつ少しずつ歩みを進め、今では新たな挑戦「シャンソン」を朗々と歌い上げられるほどに、新たな声音を獲得されていました。

退団されてからも、やっぱりちえさんは宝塚歌劇の大きな指針となっている方のひとり。

在団中から「星組のお父さん」みたいだったちえさん、いまや「宝塚のおかあちゃん」的なおっきさや懐の深さがあって素敵だなぁと思います。

そんなちえさんがラジオでお話しされている内容を聴いて、男役として作ってきた低音ボイスから女優となって高音ボイスも求められるようになった時、喉の使い方やメンテナンスにご苦労があったのだろうと感じました。

どう声を出せばいいのか、退団後に模索されたのだろうと…

「REACH」から、「アンセム」に至るまで、こっちゃんは男役の今から時間をかけて新たな歌い方や高音の出し方を、日々研究し続けられているように、数々の映像やインタビューなどから感じます。

アンセムでも爆音で歌い上げるだけじゃなく、あの大舞台であっても「囁くような」歌い方を何度もされていましたね。

からの「私は最強」のような高音をスコーーーーンと放ったり…

変幻自在な声音を使いこなすのは、これまでのこっちゃんの努力の賜物、そして才能だと思うのですが、それでもより喉に負担をかけずに声色を使い分ける術を、宝塚を旅立つ前に、すでに身に着けられているような気がしたんです。

それは、もしかしたらちえさんがご自身の体験を、こっちゃんに惜しみなく伝えられたりしたのかな…とも…

そしてタカラジェンヌの今、こっちゃんが習得されたからこそ、さらに意味があると思っていて…

そう意識して聴いていると、ありちゃんやカノンくんも同じような歌い方(囁く)をされるシーンが何度かあったんです。お2人のこういう歌い方は初めてで、凄く新鮮で、「こっちゃんの歌い方」みたいだ…と思った。

あれだけ歌が大好きで、研究し続けて、どんなジャンルの歌を歌いこなすこっちゃんが苦労して習得した歌い方を、きっとこれからの宝塚の「未来」を担うありちゃんやカノンくんにも、惜しみなく伝授されたんじゃないかなと…勝手に想像して、胸が熱くなりました。

タカラジェンヌは、1日2公演の日も含めると、大変な公演回数をこなしていく。しかも全力で…

そして、真ん中に近くなればなるほど、台詞の量や歌の量が莫大になっていく…

それは、トップスターになられた方々が口を揃えて驚愕すると話されていますね。

宝塚の「未来」を担うであろう彼らに、こっちゃんが「ずっと、腹から声を出せ!」じゃない歌い方でも、曲によってはむしろ客席に、聴く人にちゃんと伝わるよ…ということを体現し、伝授されたのではないかなぁと…

そして「アンセム」は、宝塚歌劇の舞台では経験がないほどの特殊効果を駆使した舞台を創り上げ、あの大きな舞台に星組生や宝塚ファンを連れていき、宝塚歌劇団が対外的に「こんな角度からの表現もできる」という前例を創り、宝塚の未来に新たな可能性の種を確実に残してくれたと感じました。

アンセムを経験する前の宝塚と、アンセムを経験した後の宝塚

うまく言葉にできないんだけど…

きっと、やっぱり「何かが」変わったような気がする。

本当に礼真琴さんのタカラジェンヌとしての「集大成の瞬間」に今立ち会ってるんだな、というとてつもない寂しさが迫ってくるとともに、礼真琴というアーティストのこれからが心から楽しみになった公演でした。

ミュージカルというフィールドだけじゃなく、エンターテイメントの世界であらゆる才能を発揮されるのでは、とワクワクするようなスケールの大きさ…

でも、「隣に住んでそうなトップスター」「レンチンして、ほくほくするこっちゃん」「しっぽがジッパーになった柴犬のペンケースを嬉しそうに紹介するこっちゃん」など素朴で親しみやすい一面( *´艸`)

なのに、ガラス細工のように繊細でふっと消えてしまいそうな儚さと美しさ…

そんなこっちゃんが何度も「皆様の一生の想い出に」「唯一無二の」といった言葉を伝えてくれたこと。

そういっても大袈裟ではないくらいの景色を見せてくれたこと…

私にとってこの「アンセム」は、感動という言葉では表現しきれないくらいの感情をくれました。

無事に幕をおろし、こっちゃんは心からほっとされていることと思います。

退団公演の集合日まで、きっと少しは休めますよね。

礼真琴さん、そして武道館チームのメンバーが、しばしゆっくりとした自分時間を過ごして、エネルギーチャージしてくれますように…

そして、また「にぎたつチーム」や今回出演していない「大切な仲間たち」と一体となった時、星組がさらなる進化を遂げていることと思います。

この公演中、毎日言い続けてしましたが、千秋楽を迎えられた今、もう一度言わせてください。

本当に、本当にずっと忘れられない時間を、素敵な想い出を心からありがとう…

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

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