私が柚香光さんのお芝居をしっかりと生観劇できたのは、2018年5月博多座公演「あかねさす紫の花」でした。
当時、柚香光さんは明日海りおさんに次ぐ二番手男役スター。天比古/大海人皇子を役替わりで演じられていて、私が観劇した日は「大海人皇子」だったんです。
柚香光の「芝居力」に泣いた
私は当時、「特定のタカラジェンヌさんの大ファン!!」という状態ではなくて、博多座にやってきてくれた作品は毎年観る!みたいな緩やかに宝塚ファンしてます、という時でした。だから、花組さんもそれほど詳しくなかったし、柚香光さんのことも今ほどの情報量はない状態だったんです。
でも、そういう時って、本当に純粋に作品に没頭できる気がします。
宝塚は「タカラジェンヌ」の素顔やその背景まで含めて知っていくことでもっともっと舞台を観る楽しさが増すし、感動が倍増することが醍醐味。
ですが、あの頃の私のように「ただただ、作品をフラットな状態で観る」っていうのもなかなか貴重な体験だったな~と、再び宝塚にどっぷりな今となっては思います(*^^*)
この時、私は生観劇の後こんなことを書いていました。
率直に言います。本当に本当にほんとーーーーーに、柚香さんの大海人は素晴らしかった!!!柚香さんの持つ、爽やかさやシャープさのなかに見え隠れする温かさがお役にぴったりで…。明日海さんの弟、という立ち位置もしっくりきたし、額田に対する深い愛情と兄に対する深い尊敬も疑いがなかった。「聞き分けの良い、従順な人を演じている」というわざとらしさがなく、素直に「心の美しい人だな」と思わせる純粋さがそこにありました。役柄と役者がぴったり合ったとき、観る人は本当にその世界にトリップできます。私は、今回の作品で特に柚香さんの存在によって、この複雑な心情が絡み合うお話にすんなり入っていけました。
柚香光さん(大海人皇子) ×「あかねさす紫の花」
そうそう、そうだった。明日海さんの弟役で兄を心から尊敬、仙名彩世さんが演じる額田に対する愛情、そのどちらもが何とも自然で美しい青年でした。
だからこそ、このシーンが切なくて衝撃的で涙が止まらなかったんです。
そんな心の美しい大海人。クライマックスで狂う。だらりと着物を肩から掛けて、よろけつつ槍を杖のようについて現れる大海人。静まり返った劇場内全体が、そんな大海人の動向を見つめていました…。祝舞のはずが、ただならぬ雰囲気。いつも優しさを湛えていた目は、何も見ていない…。怒りだけではない、深い深い悲しい心が滲んでいました。中大兄の玉座近くに槍を激しく突きつけ、そしてあの悲壮な笑い声…。私、一気に涙腺が崩壊しました。こんな悲しい笑い声ってある?壮絶なラストシーン。あ、こんなお話だったんだ、あかねさす紫の花って…やっぱり、名作なんだな。柚香さんの好演で、この作品への見方が180度変わりました。
柚香光さん(大海人皇子) ×「あかねさす紫の花」

れいちゃんって、その風貌の個性や美しさに注目されがちですが、私はやっぱり「目で語る人」というイメージがあります。
もちろん、身体全体で「リアル男子」を演じられるお芝居心も素敵なのですが、この大海人皇子のお役の時に見せた「何も見ていない目」のように、れいちゃんの「目」に本物の役者魂を感じるんですよね。
切ないお役が似合う、れいちゃん
『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』は映像で観ましたが、この作品も印象に残っています。この時も、私はやっぱりれいちゃんの「目の動き」に感銘を受けた…。
柚香光さん明日海さんと対極にあるような、そんな静かな炎を燃やしているようなお役。ほとばしる内なる力を「絵」に込めて、静かに戦っている。仲間想いで心温かい人なんだろうな、でもそれが時代の波にのまれて伝わらない…切ない切ないお役でした。でも、柚香さん演じるリノのラストの姿…これが本当に感動的で。聖乃あすかさん、水美舞斗さんとのシーンで…私、ぼろぼろ泣きました。柚香さんの目の動きだけで、何を想っているのか伝わってきた。水美舞斗さんが心と裏腹なことを言いながら、感極まり涙を流していた。聖乃あすかさんが、あまりにも真っすぐで温かで…その姿に泣けた。皆それぞれが、自分の立場のなかで想いを秘めて、「彼ら」のことを想っている。そのシーンに涙が止まりませんでした。
柚香光さん、瀬戸かずやさん「脇を固める」素敵な役者たち!:『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』

じんわりと、心に残る作品でした。今思えば、れいちゃん2番手時代の作品って「切ない役柄」が多かったなぁと思います。でもれいちゃんの持つキラキラ感を抑えた役だからこそ、れいちゃん本来のお芝居力がより磨かれたのかもしれません。
卒業のその日まで、そして未来へ目を輝かせて…
れいちゃんが退団発表されてから、れいちゃんの退団会見もスカイステージで観たのだけれど、退団会見のれいちゃんの目は、本当に澄んでいて輝いていたなぁ。
きっとれいちゃんの目は、未来を見つめているのだなと思った。もちろん、今は宝塚の男役として全集中で向き合っているのだけれど、その目の先にれいちゃんの新たな未来が広がっているんだなぁと感じました。
宝塚GRAPHの9月号、表紙は驚くほど自然なのに凛としたれいちゃんのアップです。やっぱり目に宿る光が強く眩い。退団のその日まで、花組のトップスターとしてその目を輝かせて幸せな「タカラジェンヌの日々」を送ってほしいな、と思います。
タカラヅカニュースで映像をちらりと観ただけなのですが、『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』何だか独特の面白さと可愛らしさがありそうな作品ですね。とても好評のようで、月城かなとさんが「憧れる!!」とお話しされていたれいちゃんこだわりの「むしり」の鬘もよく似合っていました(*^^*)
東京公演も、艶やかに…元気に舞台に立ってくれることを願っています…!
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