宝塚チケットと観客層。ブランドと広がり、その行方

前回の記事では「宝塚チケット問題」について書かせていただき、たくさんの方が読んでくださいました。

やっぱり「観たい人が観られる宝塚」であってほしい…その想いを込めて、今回も続きを綴ります。

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やっぱり、宝塚歌劇のチケット問題は、宝塚ファンにとって大切なテーマであり、避けて通れない話題ですよね。

私自身、宝塚チケット問題について考える中で、ひとつ気付いたことがあります。

それは、前回の記事にも書かせてもらった「オンライン化して、誰もが席番まで選んでチケットを買える仕組み」について。

この方法は理想的ですが、なぜ劇団がここまで「チケット販売のオンライン化」に慎重なのかを考えると、ひとつの仮説が浮かびました。

そのひとつは、宝塚歌劇が長年大切にしてきた「ブランディング」と「観客層」の関係です。

目次

観客層とブランドイメージ

宝塚歌劇はこれまで、作品や舞台だけでなく「観客の雰囲気」も含めて、世界観まるごとブランディングしてきた印象があります。

舞台上はもちろん、観客層にもそこはかとなく観劇マナーや一定のイメージを求め、「清く正しく美しく」という言葉とともに、いわゆる「宝塚らしい観客像」を求めてきたのでは、と感じます。

もちろん、どのような演劇を観劇する際にも、他の観客に迷惑をかけない、演者へのマナーなどは同様に存在します。 

ですが、宝塚歌劇はマーケティングでいう「ペルソナ」が、よりはっきりしているのでしょう。

そして、そのブランドイメージを維持するためにも、ある程度、劇団の目の届く範囲でチケットを分配し、一定の客層を大切にしてきたのでは…、と思える部分もあります。

そして宝塚歌劇は、他のエンターテイメントと比べても、同じ作品でも何度でも観たいと通う方が多い「リピーター」ありきの演劇だったかもしれません。

それはブランディングしていく上で、たしかに功を奏した部分もあったでしょうし、「生徒」と呼ばれる幅広い世代が集まるタカラジェンヌたちを「守り、育てる」意味もあったのでしょう。

note(ノート)
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しかし、広がりはない

けれど、そのやり方には課題もあります。
観客が一定の客層に偏ってしまえば、宝塚の世界の広がりは限定的になりやすい、ということです。

それでなくても、ここ数年はメディアへの露出もなく、宝塚歌劇が偶然にテレビで観られた…ということもなくなりました。

このままでは宝塚を観てみたい、と思う新しい世代や多様な観客層に届かず、「宝塚は限られた人のためのもの」と思われてしまうリスクもあります。

せっかくの素晴らしい舞台も、一部の人たちのものだけになってしまうのは、とてももったいないことですね。

その結果、イメージばかりが先行して宝塚歌劇を敬遠してしまったり、敷居が高く感じてしまったりする方もいるでしょう。

小林一三翁の理念に立ち戻る

でも、宝塚歌劇の原点に立ち戻れば…

宝塚歌劇団を創設した小林一三翁は、「清く正しく美しく」という理念とともに、庶民が楽しめる大衆娯楽を目指しました。小さな湯の町、宝塚に生まれた少女歌劇。

それは、限られた層のものではなく、多くの人がひとときの夢を見られる世界。

ブランドイメージを守ることと同じくらい、広がりを持たせることもまた、宝塚の理念に沿うものだと言えそうです。

これからに願うこと

もしオンラインで購入できるチケットが大幅に増えれば、これまで以上に多様な客層が劇場に足を運ぶようになるでしょう。
知り合いやFCを介さず、友の会を経由せずとも、多くの方が直接宝塚歌劇にアクセスできるようになるからです。

そのときに、観劇マナーが守られない場面が少しでもあると、せっかくの夢の世界が十分に楽しめなくなってしまうこともある。

これは宝塚に限らず、あらゆるエンターテインメントに共通する課題です。(もちろん、既存・新規客問わず観劇マナーは個人のモラルの問題ですが…)

だからこそ、宝塚歌劇を“まるごと”楽しみに訪れる観客が、互いに気持ちよく過ごし、近しい気持ちを持ち寄って感動を分かち合える空間であり続けることが、とても大切だと思います。

観劇マナーについては、今はSNSやYouTubeなど即時に多くの方々に拡散できる場があるのだから、一度きちんと動画などを作って呼び掛けては?と思います。

今は、お子さん向けにも観劇マナーの冊子などが配られて、「観劇マナー」がしっかりとわかりやすくまとめてありますよね。ああゆうの、改めて広い層に呼びかけるといいのにな~と思います。

このページもいいと思うのですが、もう少し拡散しやすいキャッチーなのもあるといいな~。動画で分かりやすく、親しみやすく伝えるのもいいかも。

宝塚歌劇公式ホームページ
観劇マナーについて | 宝塚歌劇公式ホームページ 宝塚歌劇の舞台は、出演者やスタッフ、そして皆様の手で創られます。 より良いステージを創りあげるため、皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。   

宝塚歌劇は、111年を超える歴史と伝統を持ちながら、常に変化を重ねてきました。
だからこそ、これからは「観たい人が観られる」環境を整えつつ、宝塚らしいブランドを守っていく仕組みを模索してほしい。

その中で課題となる「ブランド維持と多様な広がり」その両立こそが、次の宝塚をさらに輝かせる道だと信じています。

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

コメント

コメント一覧 (2件)

  • いつもありがとうございます。

    教え子が立て続けにお世話になった関係でアラフィフで開眼したおっさんございます。
    都度都度大劇場や梅芸にお邪魔をしておりますと、仰る「お客層」の違いをはっきり感じます。

    新人公演の「文化祭の家族感」は特別としても
    貸し切り公演の雰囲気は企業によって大きな差を感じます。

    でもあの貸し切り公演が裾野を広げているとも言われているので悩ましいところです。

    on-lineの成り行きを期待しながら見守らせていただきたいと思います。

    • こちらこそ、いつもアメブロでいいねしてくださっていた方ですね。
      おっくん007さん、コメントありがとうございます。
      観客のペルソナがはっきりしていそうな宝塚歌劇。最低限の観劇マナー、宝塚歌劇の夢を壊さない客席の雰囲気も含めて大切ですが…
      広く宝塚歌劇が認知されて、未来へとファンがつながっていくことも大切で…難しいところですね。
      確かに、貸切公演と、通常公演の雰囲気の違いは感じることがありますね。
      チケット問題も、良い方向に改革が進むのでしょうか。
      これからの動き、私も期待して見守りたいです。

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