珠城りょうさんラストデイを観て:『桜嵐記(おうらんき)』『Dream Chaser』

珠城りょうさん、美園さくらさんトップコンビをはじめ、月組退団者の皆さんが、無事千秋楽を迎えられました。ライブ配信で、しっかりと皆さんのタカラジェンヌとしてのラストデイを見届けました。

目次

号泣した『桜嵐記(おうらんき)』

「素晴らしい退団作品!」そう噂には聞いていたものの、どのようなストーリーか全く予備知識を入れずに観た『桜嵐記(おうらんき)』。

結論から言うと、もの凄くよかった!!!!!!

ストーリーや配役、トップコンビのお芝居、それを取り巻く人たちとの関係性やお芝居が素晴らし過ぎて、いくつもの場面で涙が溢れました。特に印象に残った方の感想を…

楠木正行 珠城 りょう

楠木正行というお役そのものだった珠城さん。どっしりとした大樹のような佇まい、実直な人柄が重なって、どの場面もどの台詞にもぐっときました。私がこれまで観てきた珠城さんの役柄のなかでは、ダルタニアンが一番好きだったのですが、それに匹敵するくらい魅力的な当たり役だったと感じます。

こんなにも華やかで艶やかで、切なさもあって…演出家上田久美子先生の想いがひしひしと伝わってきます。

本当に素晴らしい退団作品、正行を見事に演じ抜かれていて涙が溢れました。

美園さくらさん演じる弁内侍との出会いで、彼女を諫める場面は特に印象的。内容は違っていても、こうして珠城さんは美園さんに時に厳しく、でも温かく指導をして導いていたのかなと勝手に想像してしまいました。

「飯炊きの支度くらいは手伝えるであろう」といったようなちょっと意地悪な(#^^#)言葉で、さりげなく一行になじみやすいよう導いてあげる正行(珠城さん)。しばらく一緒にいるうちに、彼女の「飯炊き以外」の能力の高さを認めるような台詞があり、それもそのまま珠城さんの美園さんへの気持ちなのかなぁなんて。

美園さんが何かとても大きく苦手(マイナス面)なことがことがあって、でもそれ以外の多くはとても素晴らしくてそれをとても認めている。心のなかでは温かい気持ちを寄せていても、表面的には正行のように時に突き放すようなことも…それが、美園さんへの「愛」なのかな。

それ以外にも、鳳月さん、月城さんなど月組生それぞれとの関係性が重なって感じられるような場面がいくつもあり、涙が止まりませんでした。


弁内侍 美園 さくら

私、実はこれまでこのブログのなかで美園さくらさんのことをほとんど書いたことがありませんでした。スカイステージでは何度も彼女の主演作品が放映され観る機会はあったはずなのに…これまできちんと向き合ったことがなかったのです。

でも今回初めてしっかりと彼女のお芝居を観て、この弁内侍を演じる美園さんは本当に本当に素晴らしかった。

声の出し方、可愛らしい姫芝居、切ない抑えた表情、情感ある歌声…そのいずれからも丁寧に役作りされたことが伝わってきて、凄く好感を持ちました。

そして、素直に感動した。

正行の一行に加わり食事の支度を慣れない手つきで手伝う姿、正時(鳳月さん)がせっかくとったお出汁を豪快に捨てそうにになるのがすごく可愛くて(#^^#)、自分の壮絶な過去を話す場面の鬼気迫る声音、満開の桜を背に正行とひとときの愛を交わす幸せそうな表情…すべてに心がこもっていて、本当にじーんときた。

この作品に出逢えたことは、きっと美園さんの今後にも繋がるのではないかな…と勝手に思ってしまうほど、当たり役だったのではないでしょうか。


楠木正儀 月城 かなと

やんちゃで荒くれているようで、人としての温かさや気遣いのある素敵な正儀(月城さん)。皆が思っているであろうことをストレートに代弁してくれるような、「竹を割ったような」台詞や立ち居振る舞いがとても気持ちよかった!

月城さんはどちらかというと太陽と月で言うとまさに「月」のイメージ。

でもこのお役では、太陽になり得る新しい一面を観た気がしました。老年、光月るうさんが演じられるんですが、自然に引き継がれていくようなお芝居。正行(珠城さん)との別れのシーンの、絞り出すような声や表情が素晴らしかった。

後醍醐天皇 一樹 千尋

何でしょう!もう本当に存在感が凄すぎます!圧倒的、圧巻!位が高く、さらに凄味もあるお役。一樹さん以外には考えられないほどぴったりのお役でした。

一樹さん演じる後醍醐天皇が登場すると、温度がさっと下がるような不思議な感覚。空気が重たくなりずしっとくるような。まさに役者。専科ならでは重厚感でした。


楠木正儀【老年】 光月 るう

語り部でもあり、正儀(月城かなとさん)の老年時代であり…その愛嬌や軽快さ、でも重厚感もあり…やっぱり素晴らしい役者さん。ラストで弁内侍(夏月都さん)と語らうシーンは、しみじみ良かった。さすがです。


弁内侍【老年】 夏月 都

冒頭とラストだけで、これだけ印象を残すことができるとは…声音や台詞の話し方が、その年代、位を自然に感じさせる。リアリティと繊細さで、作品を何段階も引き上げるような素晴らしいお芝居でした。

ジンベエ 千海 華蘭

華蘭さんのジンベエ、良すぎた(;_;)もう何度泣かされたか…健気で優しくて、可愛らしくて。珠城さんにずっと寄り添ってきた上級生としての想いがこのお役に込められていたように思います。

どのシーンも登場されたら嬉しくなるようなジンベエさんでしたが、特に印象的だったのが正行が息絶えそうになるのを見捨てず、ずっと肩を抱いてさすっていたところ…大切な人を労わるように優しく優しく腕をさすって…華蘭さんが珠城さんとの退団(別れ)を惜しんでいるように…もう本当に泣けた。

華蘭さんのお芝居、私好きです。これからもさまざまな作品で注目して観てみたいと思います。


楠木正時 鳳月 杏

この作品で、一番「カッコイイ!」と思ってしまったのが鳳月さん。料理上手で妻想い…世界一カッコよくイノシシに味噌を塗っていましたね(*^^*)薪の様子を見に行く手つき、自分は戦に行くよりも料理が好きだと笑う笑顔!妻(海乃美月さん)を愛おしそうに見つめる瞳…めちゃくちゃお似合いでした(#^^#)

そんな正時が、最後に決断したこと。妻への愛、兄弟への愛…すべてが混ざり合い、本当に涙が溢れた。

色気のある舞台姿、珠城さんの隣でずっと歩んできた絆を感じるお芝居、本当に素敵でした。


楠木正成 輝月 ゆうま

もの凄くどっしりとしていて、頼もしくて。子供時代の3兄弟と一緒に歌を歌うシーン、とても感動しました。父親としての包容力や大きさが無理なく出ていて、これはもう専科に行かれても大活躍間違いなし!

百合 海乃 美月

百合は、主要キャストのなかで「史実にない人物だから自由に役作りできる」とおっしゃっていましたが、少ない登場回数のなかにやはり印象をしっかりと残す凛としたお芝居でした。海乃さんが演じると、どんなお役にも艶やかさが加わる。

鳳月さんとの並びがとても美しくてお似合いで…今後の月組作品も楽しみだなと感じました。

後村上天皇 暁 千星

幼いイメージのあった暁さん。今回のお役で、確実に脱皮されましたね。抑えたお芝居が新鮮で、見事演じ切られたと思います。ゆったりとした、優しい口調。心を感じるお芝居に、自然と涙が…そして

正行(珠城さん)への「戻れよ」

もうたまりませんでした。凄いね、とても大きなスターさんになられたんだな、と実感。


足利尊氏 風間 柚乃

とにかく存在感抜群!位の高い役も堂々と演じられ、凄味や怖さも感じさせるお芝居に引き込まれました。本物の役者だ。これからが楽しみなスターさんのひとりなので、注目していきたいと思います。

瞬く間に駆け抜けた『Dream Chaser』

宝塚らしい楽曲と構成で、オーソドックスなショー『Dream Chaser』

珠城さんのことを想って構成されたのだろうなという、トップスターと全組子との絡みが多い作品だったと思います。珠城さんは、「トップコンビ愛」というよりも「月組愛」をとにかく強く打ち出したトップスターさんだったと感じます。

それを表しているかのような構成のショーでした。トップスターコンビの退団公演でこんなにも絡みが少ないことにびっくりしましたが、その分男役同士の絡みがとても斬新だったな。

デュエットダンスで美園さんが涙を流されていたのが印象的。エトワールが美園さんだったことにも驚きでした。

アンコール・緞帳前では…

退団者の挨拶がおわり、アンコール。

ライブ配信ではラストのラストまで観劇できるのが臨場感があり魅力です。アンコールもしっかりとご挨拶された珠城さん。退団者の皆さんも素直な気持ちが表れていました。

さっと月城さんと海乃さん次期トップコンビの紹介もありましたが、できれば丁寧な「引継ぎ式」のようなコーナーが少しだけでもあれば…そんな配慮があると、より素敵だったなと思います。これまでの退団公演でそのようなシーンを観て、心が温かくなっていたので…

専科に異動になるお二人、紫門ゆりやさん、輝月ゆうまさんを改めて舞台上に呼び、挨拶の場をつくられたのはとても驚きました!おふたりに対する珠城さんの想いが伝わってくるようでした。

そして、満を持してトップコンビが緞帳前へ。

トップスターの最後のご挨拶。珠城さんはお客様への挨拶は完璧でした。いつもブレない想いを伝えられていたと思います。ただひとつだけ、残念だったのは美園さくらさんへの対応・言葉…

お二人にしか分からない絆はきっとあるのだと思います。でも多くの人たちに誤解を与えてしまうかも…と気になりました。

取り繕ったような甘い言葉でなくていいのです。

ただこのような状況下でともに走ってきた者同士、誰もが温かみを感じられる「労いの言葉」を表情と言葉で伝えることは大切だったのでは…と感じます。(さまざまな意見がおありかと思いますが、宝塚を愛する者として私の個人的な感想です)

でも、そうではなかったラストシーン…率直に、悲しくなった。

「愛と夢と希望をお届けする」そう言い続けてこられた珠城さん。

もちろん公演全体からはそれをたくさん感じられました。もの凄く感動もしました。

だからこそ、何だか惜しくて…

とてもとても素晴らしい退団公演だったので、できればラストデイのラストまでその夢に浸っていたかったな。

いずれにしても退団者の皆さんが、笑顔で幸せそうに卒業されて良かったです。

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 緞帳前でありがとうって言ってましたよ。私その場にいましたしタカラヅカニュースでもちゃんと聞こえてます。
    あなたのやっていることはデマの拡散なんで確認してきちんと修正してください。

  • 爆さん、ご指摘拝見しました。「デマの拡散」という表現には驚きましたが、誤解を招かないため修正しております。コメント入れてくださり有難うございました。

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