前回の記事では、予想をはるかに超える多くの方々の反響をいただきました。
今想うことを率直に書かせてもらいましたが、宝塚歌劇が愛されていること、これからの宝塚歌劇への願いのようなものを改めて感じる機会となりました。

あの後、タカラヅカニュースで、宝塚歌劇111周年記念式典の様子が7分程度流れたのを観ました。
私は礼真琴さんが大好きで、星組ファンでもあります。
そんな視点で111周年記念式典を観て、白燕尾を纏って「EXCITER!!」を歌った極美慎さんの姿には、やっぱり胸が熱くなりました。
「EXCITER!!」は花組にとって特別で大切な作品。
それを前提としながらも、やっぱりあの瞬間の感動を綴らせてください。
花組の宝物、『EXCITER!!』
「EXCITER!!」は2009年、真飛聖さんトップ時代に初演された花組のショー作品です。
アグレッシブな主題歌と、煽るように始まるカッコいいオープニングは、当時の花組に新しい風を吹き込み、観客の心を一気に掴みました。
この作品がどれほど花組にとって大切なものか。
私が宝塚歌劇と出会ったのは、稔幸さんと星奈優里さん時代の星組。
二番手に絵麻緒ゆうさん、三番手に彩輝直さん。大人の色気と華やかさにあふれた当時の星組は、本当にまぶしくて、エレガントで…私はすぐに心を奪われたんですよね。
その新人公演で、稔さんや絵麻緒さんのお役を演じていたのが、まだ若手スター時代の真飛聖さん。
キラキラとした容姿に、明るくて元気いっぱいの雰囲気!
でもあの頃から、真飛さんには「この方は、絶対に大きな存在になられる」と思わせる輝きがありました。
やがて花組へ組替えされ、2008年にはトップスターに。
熱さと色気をまとい、どこか真矢みきさんを彷彿とさせる濃さがあって…
でも舞台姿からは温かさも伝わってくるんですよね。
私のなかで真飛さんは、「星男」と「花男」の魅力を併せ持つ「ハイブリッド」なトップスターでした。
そして忘れられないのが、退団公演がちょうど東日本大震災と重なった時のこと。
毎公演、トップ自らロビーに立ち募金活動をされていたエピソードを、記憶されている方も多いのではないでしょうか。
そんな真飛さんがご卒業を決めた瞬間は…
「EXCITER!!」で「Mr.YU」(真飛さん)に扮し、チェンジBOXから華麗に変身して登場するシーンで、客席からの鳴りやまない拍手に包まれた瞬間だったそう。
トップスターとして自分の存在意義を強く感じ、そして「ここでバトンを渡すべきだ」と思えたのだそうです。
これは以前、真飛聖さんご本人がラジオで語られたお話が、心に残っています。2013年、あまりにも素敵なお話だったので、記事に残していました(*^-^*)

そこから、この作品は月組から花組へと組替え後にトップスターに上りつめた明日海りおさんへと手渡され、さらには花組「生え抜きトップスター」の柚香光さんへと繋がれました。
このエピソードからも、このショーが花組にとってどれだけ大切で、「象徴的な作品」かが伝わってきます。
2010年の再演、2017年明日海りおさん時代、2018年柚香光さん主演の全国ツアー…。
花組の歴史の節目ごとに上演され、花組ファンにとって“代名詞”ともいえる宝物になったのが「EXCITER!!」ですね。
星組を忘れるくらい、立派な花男に
だからこそ、111周年記念式典でこの楽曲が使われたと知った時、少し複雑な気持ちになりました。
花組にとっては「特別すぎる」作品であり、きっと花組ファンの方々にとっても思い入れが強い楽曲だったと感じられるからこそ…
組替え後すぐの、花組生が極美慎さんしか居ない式典の舞台で、「極美くんを中心に披露」されたこと。
SNSなどでも、疑問や戸惑いの声を目にしました。
けれど、私は極美慎さんがあの場で、「花組生のデビュー」として「EXCITER!!」を歌われたことに、率直に感動したんです。
「EXCITER!!」は、花組の宝物であると同時に、「宝塚歌劇の宝物」。
星組で培ったパッションを胸に、礼真琴さんや紅ゆずるさん、宙組と星組を経験した愛月ひかるさん、星組と専科、そして雪組を経験している瀬央ゆりあさんといった先輩スターたちの背中を必死に追いかけ、ここまで歩んできた極美くん。
先日のロングインタビューを観て、極美くんが「並々ならぬ覚悟」で組替えすることを感じました。
「星組を忘れてほしくない。でも星組を思い出せなくなるくらいに立派な星男に」
私にとっても、ずっと忘れられない大好きな礼真琴さんの言葉です。
それを、極美くんもこのインタビューで一瞬涙ぐみながら、「嬉しかった」と話してくれたことが、本当に心に沁みたなぁ…。

下級生時代から「熱くなれ!強くなれ!」とこっちゃんや愛月さんに鼓舞されて、本当に熱く強くなった極美くんを、私は観劇で何度も目の当たりにして、そのたびに胸が熱くなりました。
その濃い系譜を受け継ぎながら、とてつもないプレッシャーも感じられていたと思いますが花組生として「EXCITER!!」を歌われたこと、そしてあの式典でセンターに立ち舞台を務められた姿に、じわっと涙が滲んだんですよね。
批判と期待、その両方が注がれる存在に
もちろん、今回のことに、複雑な想いを抱いた方もいらっしゃったと思います。
私も、もし大好きな礼真琴さんや、星組を代表するような大切な楽曲を、他組のスターさんが組替えすぐに歌われていたら…やっぱり少し心がざわざわするかもしれません。
けれど、それは逆に言えば、それだけその方が注目され、期待されている証なのだとも思うし、そうやって各組の、宝塚歌劇全体の大切な曲が受け継がれていくことは素晴らしいことだなと、今は率直に感じます。
宝塚はいつも伝統を大切にしながら、次の時代へと受け継がれていく舞台。
「EXCITER!!」を歌う極美くんの姿は、これからの宝塚歌劇の在り方の象徴のようにも感じ、「組ごとの魅力を再発見していくためにも、組替えで風通しをよくする」そんな劇団の意思表示にも思えました。
「EXCITER!!」は花組の、そして宝塚の宝物
「EXCITER!!」は、花組の宝物。
でも同時に、それは宝塚全体の宝物でもあって、私自身も聴くたびに不思議と身体に電流が走るような、迸る感覚が蘇ります。これはアパショナード!!に近いような感覚かも。
どれだけ時が経っても、真飛さんから、明日海さん、柚香さんへとつながれてきた名作を、今こうして現代のスターが歌い継いでいくこと自体に意味があるのだと感じます。
伝統が次の時代へと手渡されていく瞬間に立ち会えることは、宝塚ファンである喜びのひとつ。
極美くんだけでなく、それぞれの煌めくスターたちが「ご自身の魅力」を最大限発揮できる場があることを願っています。
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