怒涛の雪組公演の発表のなかでも、今後の雪組を示唆するような公演内容だったのは、彩風咲奈さんが主演するリサイタル。タカラジェンヌを輝かせるだけでなく、そのパーソナルな部分までも映し出す演出が秀逸な野口先生が担当されます。
彩風咲奈ドラマティック・リサイタル
『ALL BY MYSELF』
作・演出/野口 幸作
■相模女子大学グリーンホール:2024年4月15日(月)~4月21日(日)<一般前売 2024年2月24日(土)>
■NHK大阪ホール:2024年5月4日(土・祝)~5月8日(水)<一般前売 2024年3月24日(日)>
NHK大阪ホールはこれまでに、宝塚歌劇が公演された印象がないのですが過去にはあったのでしょうか…?NHKの番組にちなんだコンサートが多く開催されている館というイメージがありました。席数は1417席だそう。一体感のあるキャパで、客席と舞台が近く感じられそうですね。
公演案内を読むと、「彩風咲奈の舞台生活の軌跡」を辿りつつ、新たな可能性を模索する2幕構成のリサイタルになることがわかりました。
さきちゃんの軌跡と書かれているので、遠くはない未来にこの場所を旅立つことを示唆しているのでしょう。そして、こんな文言も印象に残りました。
誰もが順調な道を予想した若き日の彼。
しかし、それはスポットライトに照らされた輝く笑顔とは裏腹の、血と汗と涙の日々だった。
宝塚歌劇公式ホームページ
私はさきちゃんの作品を全て観てきたわけではありませんが、しっかりと彼女を認識したのは、2012年博多座雪組公演「フットルース」でした。
下記のブログにも書いていますが、とにかくキラキラ輝いていて、あの長身とスタイル、それだけじゃなくて目の輝きに釘付けになりました。
雪組にはこんな若手スターさんがいるんだ…!と初めてしっかりとさきちゃんを認識した瞬間。
当時のトップスターは音月桂さんで、音月さんも本当にキラキラとした王子様タイプだったので、持ち味は全く違うものの、共通する「輝き」を感じたことを思い出します。
下級生時代は、本当に明るくて元気いっぱい!そして、当時の若手スターのなかでも群を抜く「現代的な雰囲気」を醸し出していたなぁと思います。
笑った時の八重歯がとってもチャーミングで、私はその個性が可愛くていいなぁと思っていました。
順調にスター街道を歩み続けていたさきちゃん。上級生になって、ハッとしたお役は『るろうに剣心』 の 斎藤一です。いやぁ、カッコよかったなぁ…!
映像で観ましたが、その存在感といったら凄い。
スラリとしたスタイルが遺憾なく発揮されるお衣装をクールに着こなし、黒髪を撫でつけたヘアスタイルも艶やか。ニヒルにタバコを銜えて「牙突のポーズ」も決まってた…!ホント、ハマり役で今でもまた観たくなります。個人的には、この頃のさきちゃんの自由闊達な雰囲気がとても好きだった。
当時のトップさんは早霧せいなさん。この「るろ剣」時代の雪組は、ひと際ヴィジュアルが超絶素晴らしくて、そのなかでも異彩を放つカッコ良さを魅せてくれたのがさきちゃんでした。
数々のお役を主要キャストとして務め、満を持して雪組トップスターへ。
相手役は朝月希和さん。雪→花→雪という組替えによって培った「娘役力」と姉御肌な雰囲気が、彩風咲奈トップ時代(初期)の渋い、レトロな演目によく映えました。
報道などにより周辺がざわつき苦難もあったと思います。この頃の作品は観劇(映像含め)できていませんが、スカイステージなどで観る姿からは、そんなことをおくびも出さずに真っ直ぐに舞台に立つ姿。潔く凛々しかったです。
2人目のトップ娘役を迎えたさきちゃん。相手役は夢白あやさん。さきちゃん93期、夢白さん103期。
これほどの学年差があるとは思えないほどのお似合いぶりに、『BONNIE & CLYDE』ポスター画像からも驚きました。この作品、いつかスカイステージで放映してくれないかな…版権の問題もあるかと思いますが、観てみたい作品です。
『ジュエル・ド・パリ!!』の映像やポスター画像も溜息ものの美しさ。
さきちゃんの持つ本来のキラキラ感が戻ってきた感じがして(昨今は、影があり内面に籠るようなお役や雰囲気の舞台姿が多かった気がして…)凄く嬉しかったなぁ…!
学年が上がり、さきちゃんは幅広いお役を経て「目指す男役像」が確立されたのだと思います。
でも、やっぱり思い返してみても感じるのは、さきちゃんは「雪の王子様」なんですよね。フットルースで初めて舞台姿を観た時からやっぱキラキラ王子様なんよ、持ち味が…。
そう、降り積もる雪の様にコツコツと努力を積み重ねるのが得意な雪組(→ニュアンスです)、とさきちゃんがいつか話してくれたように、さきちゃん自身がそういう人なんだろうと感じます。
そして、雪の煌めきのようにクリアな「輝く王子様」が本当は似合う!と今でも私は思っています。
だから、2024年という記念すべき年に『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』が巡ってきたこと、凄く嬉しかった。フェルゼンは私のさきちゃんのイメージ、そのままのお役だったから…。
フェルゼンは、新人公演で演じたお役というだけでなく、やっぱりさきちゃんの本質にとても合うお役だと思うから。宝塚歌劇の伝統を受け継ぎ、次世代に繋ぐという意味でも、さきちゃんに適任だと思います。だからこそ、このお役に対するさきちゃんの思い入れも強いことでしょう。
トップスターに就任したら、ゴールへのカウントダウンが始まる…。
誰もが分かっていることなのに、いざ、こういうリサイタルのタイトルや内容を見てしまうと、寂しさが込み上げます。
でも、さきちゃんは今きっと闘っている。
そんな気がする。
長い年月をかけて宝塚歌劇団で自身を磨いてきたさきちゃんだからこそ、言えることがあるのかもしれない。
できる行動があるのかもしれない。
でも、さきちゃんがそのことで自身が追い込まれないよう、元気に舞台に立ってほしい、今はそんな想いです。
タカラジェンヌになった瞬間から、きっと定められていたであろう「雪の王子」となる宿命。
それを背負い、真っ直ぐに歩んできたさきちゃん。
『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』『ALL BY MYSELF』『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』が、さきちゃんにとって幸せな公演となることを、心から願っています。
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