近年、印象に残る宝塚レビュー(ショー)を数多く生み出し、長く宝塚歌劇団で活躍してきた演出家「藤井大介」先生が、理事を退任されたことが報じられました。
私もネット上の新聞記事などを読みましたが、「大介先生…」となりました…。
どのような意図でこういうことをされたのかは、ご本人にしか分かりません。ただ、酒類をリフレッシュコーナーに持ち込んだことは事実だそう…。このような状況のなか、先生なりに生徒さんたちを励ましたかったんかもしれんけど、「お稽古場に酒類の持ち込み」は、やっぱり絶対いかんよね。
大介先生の人柄をよく知っているわけではありませんが、大介先生の生徒への愛ある作品はこれまで、観劇、映像などで数多く観てきました。
また、歌劇などでの座談会の様子、退団するトップスターへの贈る言葉、スカイステージなどでのお話ぶり…長く見てきて、宝塚と生徒への愛がある方なのかなぁと思っていた。
だから、やってしまったことは劇団理事としてあるまじきことだけれど、演出家としての視点から大介先生の作品がこれから観れなくなるのかも…と思うと、寂しく感じます。
大介先生が生み出した数えきれないほどの作品のなかから、私が特に好きな作品を挙げるとこんな感じ。
『Cocktail―カクテル―』(2002年 花組 主演:匠ひびき)
『Apasionado!!』(2008年 月組 :瀬奈じゅん)
『EXCITER!!』(2009年・2010年 花組 :真飛聖)
『NICE GUY!! -その男、Yによる法則-』(2011年 宙組:大空祐飛)
『Étoile de TAKARAZUKA』(2012年 – 2013年 星組 主演:柚希礼音)
『TAKARAZUKA 花詩集100!!』(2014年 月組 主演:龍真咲)
『Santé!! 〜最高級ワインをあなたに〜』(2017年 花組 主演:明日海りお)
『Gran Cantante!!』(2022年 星組 主演:礼真琴)
柚希礼音スペシャル・ライブ『REON!!』(2012年 星組 主演:柚希礼音)
柚希礼音スペシャル・ライブ『REON!! II』(2013年 星組 主演:柚希礼音)
『VERDAD!!』—真実の音—(2021年 星組 舞浜アンフィシアター 主演:礼真琴)
特にマーカーの作品が好きかな。
『Cocktail―カクテル―』は、チャーリーさんの退団公演で。満身創痍のチャーリーさんが最後まで舞台に立ち続けた姿を映像で観ましたがもう号泣してしまった。バーのシーンで、チャーリーさんが自分の宝塚人生を振り返るようなシーンがあって、マスターに語りかけるんです。そこが、凄くよかったよね…。そういうとこに、大介先生へのタカラジェンヌへの愛があると思った。
『Apasionado!!』は、何度も再演されてきた名作レビュー。大介先生の本気が詰まった超絶カッコいい作品だと思う。こういう大人っぽくて色気があって、めちゃくちゃカッコいい世界観をいい具合に現代的にアレンジしていて…。瀬奈じゅんさんの相手役がいない!という前代未聞の体制でしたが、それを思わせない程充実した内容でホント、何度みても飽きない大好きなレビューです。
『Étoile de TAKARAZUKA』は記念すべき、台湾公演の作品。いまだにこの作品のオープニングは、私の中で殿堂入りするくらい好きです。あの煌めくような音楽、大階段にキラ星の如くスターたちが順々に降りてきて全員で主題歌を歌うところは何度観ても幸せすぎて感涙します。
柚希礼音スペシャル・ライブ『REON!!』、宝塚でこんなに現代的なライブができるんだ!!って映像で初めて観た時は度肝抜かれました。ちえちゃんのシーンが生まれたことも、やっぱり大介先生らしい。面白いんだけど、ちょっとホロリときて心が温かくなる。超絶スタイリッシュな柚希礼音さんや出演者の皆さんの歌やダンス、でも昭和感溢れるちえちゃんもあって…その物凄い振り幅が面白くて魅力的なライブでした。
それから約10年後、今の私にとってなくてはならない作品、『Gran Cantante!!』(2022年 星組 主演:礼真琴)『VERDAD!!』—真実の音—を生み出してくれたのも大介先生やったんやなぁ。
こっちゃんとせおっちの友情や持ち味の違いをよく理解し、魅力を最大限引き出した愛ある演出。それまでのなこちゃんのイメージを覆す「真にカッコいい娘役」を具現化してくれた演出。『Gran Cantante!!』のボニータの色気と凄味は忘れられません。何度巻き戻してこのシーンばっかり観たことか…!
『VERDAD!!』—真実の音—の1幕は、星組愛がないと作れんよ、あの演出。星組をずっと見つめてきた私としては涙ものでした。あの星組メドレー、だってこっちゃんたちが歌っているバックに歴代星組トップたちが大画面で映し出されるんよ、その前であの大変だった時期に星組生の皆さんが「今」を刻みながら、星組の歴史を辿ってくれて…。もう涙しかなかった。
2幕のオープニング、洗練されたステージにも唸りました。
こっちゃんの手が星を描くとともにバックの映像が炎のように光って青木朝子先生の超絶カッコいい主題歌が流れる。こっちゃんが色気溢れる眼差しでなこちゃんを見つめ、なこちゃんもこれまで観たことないくらい大人っぽく踊る…良すぎる、この流れ…!
コメディのコーナー私は好きやったなぁ、皆可愛くて。ディズニーコーナーの「美女と野獣」のことなこは、私の中で心の宝箱に入れています。あのシーンはホント宝物です。ラストもよかったよね、ホントみんな青春やった…(/_;)
もう、言うことないくらいこの2作品は私の中で本気で殿堂入り!!!!好きすぎる要素が詰め込まれていて宝物の作品です。大好きな礼真琴さん、舞空瞳さんの魅力がこれでもかっ!!!と引き出された目が覚めるような素敵な2作品でした。私は、この2作品にどれだけ励まされ、元気をもらったことか。
やってしまったことは、本当に理事としてあるまじき行為だった。
でも、これまでの作品から、大介先生の宝塚への愛はひしひし伝わってきたことも事実でした。
ネット上の記事の全てが真実かは分かりませんが、やはりお酒が好きな方ではあったと思うので、まずは、ご自身のお身体を大切に…。
大介先生も、今回の事を猛省されることでしょう。
宝塚歌劇団からのコメントでは、藤井大介先生の演出について「今後の事は未定」なのだそうです。大介先生の本当のお酒との付き合い方は知る由もありませんが、今宝塚歌劇が置かれている状況、世の中の宝塚歌劇に向ける視線は厳しいものだと思います。
演出家の世界、演出家の在り方も、「今」に時を合わせて変化の時なのでしょう。
改めて、宝塚歌劇団と社会とのズレを認識して、真の意味で時代に合わせた変化を遂げる時なのだと感じます。
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