トップスターに就任した瞬間から、ゴールへのカウントダウンが始まる…。
宝塚ファンとしてこれまでの伝統から分かってはいても、それを感じたくないし、考えたくないものです。
現在、退団発表されているのは、花組トップコンビ柚香光さん、星風まどかさん。
月組トップコンビ月城かなとさん、海乃美月さん。
2024年、多くのスターさんたちの卒業が決まっています。
最近では、宝塚OGの皆さんが多方面で活躍され、自身の「今」や「過去」を語られる機会も増えました。
そのなかでも、やはり「元トップスター」の宝塚時代のお話は、テレビやラジオなどさまざまな媒体を通して聞くことができて、「そういうお気持ちだったのかぁ…」とか、「あの時はもう、卒業を決めていたんだ…(;_;)」とか答え合わせをしているような気持ちになることがあります。
…で、話は戻ってタイトルのお話。
先日、TBSラジオ「要 潤のMagic Hour」という番組に、WOWOW連続ドラマW「フィクサーシーズン2」で共演したご縁で、元花組トップスター「真飛聖さん」がゲスト出演されました。radikoプレミアムのタイムフリー機能を使ってギリギリ聴くことができてよかった…!
私が宝塚歌劇と出会うきっかけとなった、稔幸さん星奈優里トップ時代の星組。二番手は絵麻緒ゆうさん、3番手は彩輝直さんという大人の魅力溢れる当時の華やかな星組に魅了されていました。この時、新人公演で絵麻緒ゆうさんや稔幸さんのお役を務めていたのが、真飛聖さんだったんですよね。
星組時代は、新人公演で主要なお役をいくつも演じられ、着実にスターの階段をのぼっていった真飛さん。華やかな容姿、明るく元気な雰囲気が当時から魅力的でした。
2005年、花組に組替えされ2008年にトップスターに就任。それから約3年半、花組のトップスターとして務め上げ、2011年『愛のプレリュード』『Le Paradis(ル パラディ)!!』で惜しまれつつ卒業されたんですよね。
私のなかでトップ時代の真飛さんのイメージは、星男と花男のハイブリッド!!
熱さと色気、どこか真矢みきさんを彷彿とさせる「濃さ」があり「挑み続ける姿勢」に溢れた男役さんだったと思います。そして、その舞台姿からは信念を持った温かなお人柄も感じました。
東日本大震災の時期に重なった退団公演では、全日程、トップスターである真飛さん自らがロビーにたち、募金活動を行ったというのも有名なエピソード。
そんな真飛さんは、どのようなタイミングで、どのような想いで卒業を決めたのか…。この番組では、ざっくばらんに当時の貴重なお話をしてくださっていました。
真飛さんが退団を決めたのは、あの花組と言えば!という名作レビュー2009年の『EXCITER!!』だったそう。
EXCITER!!花組大劇場公演ライブCD
当時、それまでになかったアグレッシブな主題歌と、煽るような超絶カッコいいオープニング、私も今でも大好きです!
後に、2010年にもう一度真飛聖さんが、さらに2017年明日海りおさんトップ時代、2018年柚香光さん主演の全国ツアーでも再演されましたね。
EXCITER!!(’10年花組・東京・千秋楽) 花組 東京宝塚劇場
EXCITER!!2017(’17年花組・全国)
EXCITER!!2018(’18年花組・全国・千秋楽)
真飛さんの実力と華やかさ、スター性を思えば意外過ぎるほど意外なのですが、ご自分では「自分に自信がなく、元気だけはあった」と仰っていました。
なんて謙虚な方なんだ…(;_;)
そんな真飛さんが「ここに居ていいんだ」と自分らしさを見つけられたのが、この『EXCITER!!』だったのだそうです。
そのなかでも、印象に残っていると話してくれたのが、あの有名な「チェンジBOX」のシーン。『EXCITER!!』を観たことがある方なら、皆さんご存じだと思うのですが…
仕事でやらかしてしまったり、憧れのマドンナにも相手にされなかったりと全くさえない(でも可愛らしい)サラリーマン「Mr.YU」(真飛さん)が、ある時無理やり「チェンジBOX」に押し込められ、出てくるとあら不思議…!
超絶イケメンに変身するっていう、後に再演でも登場した名物シーン。(礼真琴さんのヴェルダッドの「できなさすぎまこと」くんも、この流れを汲んでいると思ってる^^)
で、このチェンジBOXで紫のスーツに着替え、華麗に変身した「Mr.YU」が颯爽と銀橋に立った時のことが忘れられないのだそう。
お客様からの拍手がなりやまずにその拍手に包まれた瞬間、指揮者の先生も拍手を聴いていたいけれど先に進めなきゃいけないしどうする?みたいな感じになって、そんな劇場内に溢れる愛を一身に受けた時に「卒業」を決意されたと話してくれました…(;_;)
要さんが「そんな絶頂期に、普通は辞めるなんて考えないですよね?」(→ニュアンス)といった質問をされたのですが、真飛さんは「当時の組のバランスを見て、このタイミングでバトンを渡した方がいいかな」と、退団1年以上前から考えていたことを明かしてくれたんですよね。
真飛さんは、もしかすると星組から花組に組替えされて、トップスターに就任してもなお、「自分の個性」を探し続けておられたのかもしれないな。
でも、この作品で「真飛聖だからこそ生まれた」こういうシーンでお客様に心から喜んでもらえた…!と心底実感されたのかもしれない。
このお話を聞いて、そう思いました。
トップスターの去り際の美学は、本当にスターさんの数だけあると思います。
でも、その多くに共通しているのは「自分らしさ」「自分だけの男役像」を見つけ体現できた時、ということ。やっぱり、自分だけの理想の男役像や、自分の「存在意義」のようなものを見つけられた瞬間、「バトンを渡していこう」と自然に思えるのかもしれません。
真飛さんの退団後のご活躍は、ご存じのとおり。多くのテレビ作品に出演されてドラマなどで見かけないクールはないほどですよね…!真飛さんは「テレビの世界に入りたい」とずっと思っておられたそうで、退団後は舞台だけでなく、映像作品の方に幅広くフィールドを広げられています。
真飛さんの謙虚で可愛らしく、でも芯が強くてカッコいい!そんなお人柄だからこそ、宝塚歌劇のイメージだけではなく幅広いお役で活躍されているんだろうと思います。(「しろめし修行僧」の、美しくて可愛らしくて楽しい老舗旅館の女将役!とってもよかった^^)
トップスターが卒業を決意した瞬間、これからもさまざまなスターさんの口から語られる日がくるのでしょう。
だからこそ、「タカラジェンヌ」として輝く限りある時間を、宝箱に入れていくみたいに大切に観ていきたいです。
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