礼真琴の「青春」。星組『阿弖流為』それぞれの岐路

ついに2017年ドラマシティ、日本青年館で上演された星組『阿弖流為』を映像で観ました。

いつかは観たくてスカイステージで録画はしていたのだけれど、何だか凄く構えてしまってなかなか再生することができなかった。礼真琴さん(こっちゃん)にとって、特別な宝物の作品だと知っていたから…。

観ている間も観た後も、もう、涙が止まりませんでした…(;_;)

こっちゃんが、舞台の真ん中で確かに「阿弖流為」として息づいていて勇ましく輝いていて眩しいほどだった。

「阿弖流為」の生き様と、こっちゃんがいやと言うほどに重なった。

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星組公演 『阿弖流為 –ATERUI–』 | 宝塚歌劇公式ホームページ 星組公演 『阿弖流為 –ATERUI–』の情報をご紹介します。

こっちゃんを中心にキャスト全員がまとまって、とても熱くてお芝居が本当に素晴らしくて「礼真琴の青春」、そしてそれぞれの「岐路」を感じた切なくも美しい物語でした。

目次

礼真琴さんの、青春…。


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礼真琴さんにとって、『阿弖流為』という作品はどんなものだったのか…。

それは、こっちゃんにしかわからないと思うのだけれど、トップスターとなった今でも、こっちゃんが『阿弖流為』に触れることがしばしばありました。2017年から6年経った今でも、大切な宝物となる作品であることが伝わってくるんですよね。

だからこそ、これまで観ることができなかった。心して観ないと!と何だか構えてしまって…。史実にもあるストーリーなので、その結末を思うと切なくなるというのもあったのかもしれません。


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『阿弖流為』には、こっちゃんを中心に今も活躍する星組メンバー、印象的な宝塚OGが多数キャスティングされています。ヒロインは有沙瞳さん、相対するのは瀬央ゆりあさん(せおっち)。

この同期コンビでの対峙が本当に素晴らしく、こっちゃんはもちろん、せおっちにとっても大躍進のお役だったと思います。心から信頼できるせおっちとだったから、この壮大な作品をより高みへと引き上げられたのかもしれません。

仲間たちは、綾凰華さん、天華えまさん、音咲いつきさん、ひろ香佑さん、天飛華音さんなど。上級生では、万里柚美さんや壱城あずささん、音波みのりさん、輝咲玲央さん、夢妃杏瑠さん、漣レイラさんなど。天彩峰里さんは、この作品では少年のお役。先日退団された天路そらさんも、下級生ながら物凄く巧くて凛とした佇まいや重厚感のある台詞まわしに唸りました。今思うと、何と豪華で芝居巧者ばかりなんだろう…!

こっちゃんと学年が近い仲間、今も活躍する上級生、下級生が多数登場するので、そういう意味でも見応えがあったのですが、とにかく皆が役を命がけで演じているのが伝わってきて、燃え滾る炎が見えるような熱い舞台に涙が溢れた。

まさに「礼真琴の青春」を思わせる、アグレッシブでがむしゃらで、でも繊細で美しい作品でした。

阿弖流為を中心とした蝦夷側から見る歴史、朝廷側から見る蝦夷に対する歴史がリアルに浮かび上がり、これまで詳しく知らなかった阿弖流為の物語が鮮やかに目の前に広がった。

誇りを失わず、皆の先頭に立って矢面に立ち率先して戦う、小賢しい策略を巡らすのではなく、正々堂々と真っ直ぐに突き進む、そして人が自然に慕いたくなるカリスマ性、人への深い思いやりが溢れている。

自分のことよりも、後の世のことを想って我が身を厭わない…。

ここで描かれていたそんな阿弖流為の姿と今の「礼真琴さん」が重なってしまい、何だかもう分からないくらいに感動して泣いた。

今、初めてこの作品を新鮮な気持ちで観ることができたこと、このタイミングでこの作品に触れられたことに心から感謝します。

こっちゃんがまだ、宝塚に居てくれる間にこの作品を観ることができてよかった…。

それぞれの岐路だった、『阿弖流為』


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この作品はその物語の素晴らしさはもちろんですが、キャストそれぞれのタカラジェンヌとしての「岐路」でもあったと思います。

壱城あずささん:伊治公鮮麻呂[これはるのきみあざまろ]

壱城さんのお芝居は、これまでも群を抜く素晴らしさがありました。過去に別の作品を生観劇した時にも、その圧倒的なお芝居力に泣きました。熱さだけでなく静けさでもお芝居ができる人。

朝廷に与する伊治の蝦夷の長、鮮麻呂役は、壱城あづささんの演じられたお役のなかで1、2位を争うほどの印象的な当たり役だったと思います。

壱城さんがいてくれたから、この作品がより重厚に鮮やかになった。壮絶な最期のシーンは、登場された時は壱城さんだとわからなかったくらい身を窶して…。宝塚であのようなお芝居ができる人がどれだけ居るだろう…。これまで宝塚を観ていて感じたことのない感情に揺さぶられた。

この世から去った人たちも、次の時代を生きる人たちも一同に会するラストでこっちゃん演じる阿弖流為が、都優奈さんに寄り添う壱城さん演じる鮮麻呂に「拝礼のような厳かな礼」をするシーン。

その礼に壱城さんが小さく頷く、いやまるで「阿弖流為、有難う…」と言っているように阿弖流為に礼をするんです。その静かなお芝居だけでもうね…何だかもう、何もかもが伝わってくるんです。もうたまらんくなって、涙腺が崩壊した。

壱城さんは後に、ご自身のブログでこのお役のことをこんな風に語っておられました。

壱城あずさオフィシャルブログ「GU...
壱城あずさ『『伊治鮮麻呂』』 阿弖流為の台本にと書いてある。これは伊治鮮麻呂が言ったとされる最期の言葉。この言葉を見た瞬間、全身に稲妻が走る衝撃を受けた。私に鮮麻呂という人物の魂を入れてく…

壱城さんにとっても、このお役が特別なものだったのですね。

この『阿弖流為』の後、大劇場公演『ベルリンわが愛』を最後に退団されました。

そんな想いもあったのか、のちの星組のために出来うる全てのことをやろうという魂のこもったお芝居、気圧されるほどの気迫さえ伝わってくるような素晴らしい姿でした。

綾凰華さん:母礼[もれ]

黒石の蝦夷の長の跡継ぎ、阿弖流為に策を与えともに戦う盟友「母礼」を演じたのが綾凰華さん。ひと際目を惹く、凛とした華やかな美しさ、立ち姿、声の美しさで目を惹く存在でした。ヒロインである佳奈(有沙瞳さん)の兄でもある重要なお役。

仲間の中で、阿弖流為を諭すことができる唯一の存在。最後の最後までともに戦った盟友。

綾さん自身の穏やかさや人柄の温かさを滲ませる母礼。特に印象的だったのは、阿弖流為や坂上田村麻呂(瀬央ゆりあさん)と杯を交わすシーン。あの悟ったような安堵したような、でもどこか切ないような表情と台詞の発し方が素晴らしかった…。

綾さんはこの作品を最後に星組から組替えとなり、雪組へと…。雪組で退団されたので、星組生とともに舞台に立つのはこの時が最後だったんですよね。こっちゃんもきっと、そんな思いも重ねながら涙を堪えて演じていたのかもしれないな…。

音咲いつきさん:諸絞[もろしま]

音咲いつきさん(いーちゃん)が演じた和賀の蝦夷の長の跡継ぎ諸絞、ラストに近づくにつれその生き様に本当に涙が溢れてしまうような印象的なお役でした。人間臭く熱く、そして潔かった。そんな骨太な男役でなければできないようなお役を、壮絶なラストをいーちゃんは、魂を込めて見事に演じ切っていました。

いーちゃんにとって、この『阿弖流為』という作品は大きな岐路になったことでしょう。男役から娘役へと転向。この作品を最後にいーちゃんは男役を卒業し、娘役になりました。

いーちゃんが退団した1789の最後のこっちゃんの挨拶が印象的だった。

いーちゃんのことを「おんなさき」「おとこさき」と男役時代、女役時代と呼び方を変えているこっちゃん。それくらいこっちゃんにとって、1学年差しかない男役音咲いつきさんが、女役に転向したことは衝撃的でありでも心から応援していたんだろうなと感じました。

そのいーちゃんの退団の時、こっちゃんはこのいーちゃんの「諸絞」の話をしてくれましたね。娘役に転向する前の最後の男役、娘役になるなんて思えないほど誰よりも骨太な男役を演じてくれた(ニュアンスです)というようなこと…。いーちゃんはきっと、このお役にすべての男役魂を込めたのでしょう。

それが伝わってくるような、気迫のこもった男役姿が素晴らしかった。「おとこさき」「おんなさき」全部ひっくるめた音咲いつき史上、私の中では最も印象的で心を動かされたお役となりました。

天彩峰里さん:菟穂名[うほな]

天彩峰里さんの少年のお役って、いつもいいなぁと思います。あんなにも可憐であったり妖艶であったりという娘役を全うできる容姿なのに、男の子の少年をする時には完全にそれを消すことができる。一切の気取りや娘役への未練を感じさせず、潔く少年に変化する。

ヒロイン佳奈(有沙瞳さん)の義弟である菟穂名を健気に力強く演じたみねりちゃんは、とてもいじらしかったです。必死で佳奈を守ろうとした、蝦夷の誇りを守ろうとした小さな菟穂名。阿弖流為が菟穂名を称えた言葉に涙が止まりませんでした…。

みねりちゃんは、この『阿弖流為』の後、大劇場公演『ベルリンわが愛』『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』 初エトワールを務めて宙組へと組替えしていきました。

礼真琴さんにとっても「岐路」となった作品

「御曹司」という呼び方はあまり好まないのですが、やっぱり星組で大切に育まれてきた「星組の御曹司、礼真琴さん」。実力も華もあるこっちゃんは、類まれなる才能に恵まれ抜擢に次ぐ抜擢に見事に応え続けてきました。新人公演の主演や小劇場公演の主演、全国ツアーでは実質ヒロインのようなお役を務めるなど異例の抜擢が続きます。

この頃のこっちゃんは、紅ゆずるさんがトップスターとなり二番手として大きな役割を担い始めたころ。これまで以上に、「組を率いる」「組をまとめる」ということを意識し始めた頃なんじゃないかな。

そのようなタイミングで、 東上初主演この『阿弖流為』が巡ってきた。

この時の星組においての「礼真琴」の圧倒的なカリスマ性、周りを熱い渦で巻き込み空に突き上げるほどに引き上げる、そんな圧倒的なパワーが漲っていて、それが画面を通り越してこちらに迫ってくる感じだった。

このお役を演じ抜いたことによって、こっちゃんは一回りも二回りも大きなスターになったことは間違いないでしょう。そう思えるくらいに当時研8で挑むには本当に難しく、ですがさらなる成長を遂げるに必要なお役だったのだと感じました。

頻繁に気軽に観返せない。それくらい、心揺さぶられる作品

キャストのことばかりを書いてしまいましたが、舞台演出全てが美しく、分かりやすかったことも素晴らしかったところ。映像を巧く使った演出や美しいお衣装、メイク、ヘアスタイル、そして美しい音楽に彩られた『阿弖流為』は、近年の宝塚の作品のなかでも一線を画する仕上がりだったように思います。

悲しいラストのはずなのに、そこはやっぱり宝塚。希望も感じたし、清々しい気持ちが残るような演出で幕を下ろしてくれたことにも感動しました。

あまりにも心揺さぶられる作品だけに、何度も頻繁には観返せないかもしれません。これは、いい意味で。

でもこっちゃんのファンになれたからこそ、こんなにも素晴らしい作品に出会えた。壮大な日本の歴史、人の歴史に想いを馳せることができた。

舞台って、本当に総合芸術であり、「人の心に訴えかけるもの」がずば抜けているなと感じたひとときでした。

星組公演『阿弖流為 –ATERUI–』

間違いなく、宝塚の歴史に残るであろう名作でした。

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

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