『礼真琴さんの香り』と、「届かなかった視界」の切なさ|楽天貸切公演にて

宝塚大劇場

舞台は、目に映るものだけじゃなく、音や光、そしてふと漂う香りまでもが、その世界をつくり出してくれるもの。

先日、楽天貸切で観劇した『阿修羅城の瞳』。

香りとともに感じた幻想的な時間と、ふと近くで耳にした切ない声。
どちらも、忘れがたい“舞台の一幕”として心に残りました。

今日は、そんな体験を綴ってみたいと思います。

※アイキャッチ画像は、自席ではなく1階席後方から撮影したものです。

目次

舞台からふわりと届いた“あの香り”

先日の奇跡の楽天貸切公演で、1階前方のお席に座ることができたときのこと…。

『阿修羅城の瞳』の幕が上がると、ふわっと柔らかく香ってきたのは──

白檀のような、厳かで静かな香り…京都のお寺に居るような、心の奥にそっと訴えかけてくるような…

それが、どこから漂っていたのかはわかりません。舞台風に乗って届いた香りだったのかも…
でも、その香りとともに現れた出門の姿が、あまりに印象的で──

礼真琴さん演じる出門の、色気に満ちた深淵な眼差しとあの香りが、絶妙に交錯していたのです。

まるでその香りが、出門の“気配”そのもののように感じられて…
現実と幻想の境界が、すっと曖昧になるような没入感がありました。

香りって、不思議ですよね。
目に見えないのに、舞台の空気感までも記憶に焼きつけてくれる。

それを、「プルースト効果」と呼ぶのだそうです。

今でも、あのとき気持ちとともに、白檀のような香りから出門の姿がふと蘇り、「礼真琴さんの香り」として私の記憶に刻まれているんです。

なので、私は、こういう香りの記憶や舞台演出(舞台人の方の演出)もとても素敵だなと思っているから、自身では香りを纏わずに観劇するようにしています(*^-^*)

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“見えなかった”という現実の切なさ…

でもその日、すぐ近くでは、こっちゃんの姿が一度も見えなかった──

そんな声も聞こえてきました。

有難いことに、私は視界良好で銀橋に立ったこっちゃんが一直線につながるような瞬間もあって、もう本当に自然に涙が出てきそうなほど感激しました。

でも、見えなかった方の前方に座られていたのは、背の高い男性の方。

その男性はとてもお行儀よく、姿勢も美しく、観劇慣れした感もある方でした。

なので、その方はもちろん何ひとつ悪くはありません。

ただ、背が高かった…座高も高かった…(;_;)

背中の向こうに舞台のセンターがすっぽりと隠れてしまっていたようなのです。

遠征して、たった一度の観劇で

その方が、どれだけこの日を楽しみにしていたのかと思うと、やりきれない気持ちになります。

遠征してスケジュールを合わせて、ようやく叶った観劇だったそうで、それが「舞台が見えなかった…」で終わってしまうなんて…。

劇場にはさまざまな客層の方がいらっしゃるので、一概にどうこうとは言えませんが、誰も悪くないのに…

こんなにも切ない体験があるというのは、やっぱり自分のことではなかったとしても切なく心に残ってしまいました…。

例えば、こういう対策はできるかもしれません。

  • 背の高い方の任意申告制度と、後方優先配席の検討
  • 座席ごとの視界の特性を案内する「視界ガイド」を事前に共有
  • 新たな視界不良を生み出さない、絶妙なクッションの開発(各座席に配置)
  • 観劇後アンケートに「視界の見え方」に関する項目を追加

背の高い方や体格の良い方が前にいらっしゃるだけで、その方の後頭部や後ろ姿を観て観劇が終わった…というのは、やっぱりあまりにも切なすぎるなと思ったので…。

そろそろ、「当たりはずれ」という感覚ではなく、劇場側(劇団側)で具体的な対策がなされてもいいのでは…と思いました。

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五感すべてで感じる宝塚体験

舞台って、視覚も音楽も、そして香りも、五感すべてで感じるもの。

人それぞれに、たとえ何処かが欠けていたとしても、全力で感じる力を研ぎ済ませれば楽しめるものですが…

でもやっぱり、それが他者によって遮られることはあってはならないなと…。

誰もがその時間を、空間を心から楽しめるように──
そして、ストレスなく夢に浸れるように…。

観劇という体験が、誰にとってもいつでもあたたかく心に残るものでありますように…と心から願います。

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

コメント

コメント一覧 (4件)

  • いつも拝読しております。ありがとうございます。でも今回は、うーん。
    悪くないといいつつ、あからさまに背が高い人を悪者扱いですね。任意申告? 任意と言いつつ申告しなかったら叩かれる仕組みですね。背が高い人が前の方で見ていたら犯罪者扱いです。

    お気持ちはわかるし、いざそういう環境に自分がなったらあとで文句言いまくりますけど、それはあくまでも内々で。
    生の観劇とかってそういうものだと思うので、やたら公に文句言ったり、規則を求めるのは違うと思います。

    失礼いたしました。

    • ふりっぷさん、コメント有難うございます。
      仰るように、これは本当に難しい問題ですね。
      だからこそ、これまで劇団も劇場も着手してこなかったのだと思います。
      生の観劇ってそういうもの…
      どのような状況でもそう思えるといいのですが…

      >やたら公に文句言ったり、規則を求めるのは違うと思います。

      私もこの部分、そう思います。
      ただ、誰もが納得いく形は難しいかもしれませんが、遠征し全くセンターが観えない…という3時間はつらかろうとも思います。
      その方は、文句ではなくそっと話してくださったんですよ。
      勿論前の方に文句を言うことも全くなく、仕方ない、とスタッフさんにも声をかけず我慢されていました。
      これからも、さまざまな視点を大切にしたいですね。

  • すみません。攻撃的な書き方になっていたと反省しております。
    ワタシ自身も女性からすると「デカくて邪魔なヤツ」ですので少々感情的になってしまったというのが、情けないとこに真相です。

    先日も宝塚ではありませんが、とあるコンサートでご招待いただいたものの、最前列のど真ん中という席で、うしろは女性。招待なので席を替わることも出来ず、こころもち首をすくめて鑑賞しておりましたが、だからといってデカいんだから後ろに行けと言われると正直なことろカチンときていたでしょうw

    唯一の正解がない中ですからいろんな意見提起はあってしかるべきですね。
    ヘンな噛みつき方をしてすみませんでした。
    これからの記事も楽しみにしております。

    • とんでもないです!
      そういうご事情だったのですね…本当に難しい問題です。
      意図的に視界を遮っていらっしゃるわけじゃないのに、肩身が狭いなんていうのも理不尽に感じられることでしょう…
      本当に難しい問題!
      でもこうして書き込んでくださることで、たくさんの方がそれぞれ「気づき」思案されることもあろうかと思います。
      こちらこそ、いつも記事を読んでくださっているとのことで有難うございます(*^-^*)

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