極美慎さんが、花組へと組替えされる前の、星組生として最後のバウ主演作「にぎたつの海に月出ず」。
タイトルとポスター画像の段階で、「名作の予感しかしない」と感じたバウ作品。

実は、星組公演「記憶/ティアラ」を観るために東京遠征していた時、「にぎたつ」のフライヤーが劇場にお目見えしたのですが、なんて良いフライヤーなんだと…
このポスター画像の余白と、フォントと、極美慎さん、詩ちづるさんの自然な表情とポージングがいいなぁと思ったんですよね。福岡にはもうキャトルはないので(;_;)、「折られていない」フライヤーはなかなか手に入らないのです…!
「にぎたつ」の時代背景・世界観は、宝塚で取り扱う日本物の中でも新鮮で興味があったのですが、資料が少ない時代でもあると思うので、1つの作品として創り上げるのは大変だったでしょう。
ですが、このポスター画像には作品の「意志」が明確に感じられて、とても期待していました…!
涙なしでは観られないシーンもたくさんありそうですね(;_;)
先日、「にぎたつ」のNOWONSTAGEの初回も放映されましたよね。
かりんちゃん(極美)、ベアタ・ベアトリクスの時よりもずっと落ち着いて、どっしりとした佇まいが印象的でした。
かりんちゃんは、やっぱり「BIGFISH」で礼真琴さん演じるエドワードの息子ウィルを演じてから、大きく飛躍されたと私は思っています。
ウィルの前後で、全然印象が違うんです。
もちろん、「ベアタ」の時にもお芝居に対して緻密でなおかつ熱い方だと感じましたが、その熱が良い方向に昇華したのが「ビッグフィッシュ」のウィルだったと思います。
1人の人間の人生を丁寧に描き上げることに長けた方なので、今回の「にぎたつ」でも、百済の留学生である智積(ちしゃく)という人物を繊細に丁寧に魅力的に演じられるのだろう、とナウオンから感じました。

かりんちゃんがやっぱり突出していると感じるのは、どんなお役を演じても「キラキラ感」を纏えること。
タカラジェンヌに求められる、この大切な要素を常にクリアしてきた方ですね。
博多座で「ミーマイ」を観劇した時、かりんちゃんのジャッキーはもう本当に美しくて圧巻でしたが、気になったのはあまりにも「線が細い」ことでした。あまりにも華奢でスタイル抜群なものだから、薄手のワンピースを着用された時に折れそうなくらい…!
その次に観た、「RRR」のジェイクもスーツ姿がめちゃくちゃ似合っていて素敵だったけれど、やっぱりちょっと線の細さが気になりました。
そして、「記憶/ティアラ」の古郡(フリーライター)、どっしりしてた。渋い「おじさん」役にもかかわらず、キラキラ感はやはり纏ったまま、でもお芝居や表情で「渋さ」が無理なく表現されていて…ビッグサイズのお衣装をだぼっと着られていたこともあり、高身長を活かした大きさも感じました。
見た目の変化は、やはり内面の充実が大きく影響するのだろうと感じます。お芝居がどんどん魅力的になって、惹きつけられるし、存在が「より大きく見える」ように…。
近しい学年や下級生に囲まれたナウオンだったこともあり、主演として上級生としての頼もしさ、余裕がハンパなかった…!
お役の難しさや主演としてのプレッシャーはもちろん感じておられると思いますが、それよりも一本芯が通っていて、皆をしっかり目指す方向へと連れていく力強さも。(かつ話し方が、ちょっとこっちゃん味あるのも愛おしい)
専科の悠真倫さんや上級生のキザキさん、組長のちぐさんなど、頼もしい先輩方に存在も心強いのでしょうね。
花組に組替えとなる前の最後の星組主演作。
珠城りょうさんが初のバウ主演で上田久美子先生が演出された「月雲の皇子」を務められた時、あまりに好評で、同年の年末に天王洲 銀河劇場公演として再演された稀有な事例がありました。
その時の再来となるのかな、と思っていましたが、これが叶ったのも珠城さんや主要キャストの組替えがなかったからですね。
今回は、かりんちゃんが8月で花組に組替えとなってしまうため、このメンバーで作品を作れるのは、この貴重な期間だけ…。ですがきっと、バウだけでなく東京でも…と声が上がるほど惜しい作品となることでしょう。
極美慎さんは、きっとこれからの宝塚歌劇を牽引していくタカラジェンヌのひとりになられるはず。
平松結有先生のデビュー作、そしてかりんちゃんの星組生として組替え前最後の主演作、ライブ配信がとても楽しみです。
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