宙組次期トップスターが発表された瞬間、「やはり」という気持ちもありましたが、それと同時に「ついに、宙組初の生え抜きトップスターが生まれたこと」に、大きく歴史が変わる瞬間を感じました。
宙組は、宝塚を構成する5組の中で、最も新しい組。
ですが、その歴史は1998年1月1日に遡り、2023年に25周年を迎えたんですよね。
今でも、あの「エクスカリバー」と「シトラスの風」を、初めてテレビ(NHKだったと思います)で観た時の衝撃は忘れられません。
ディズニーのおとぎ話のような「エクスカリバー」は、心躍らせて何度も観返した作品。主題歌である「未来へ」はよく口ずさんでしまうくらい、大好きな曲でした。元気が出る、視界が開けるような素敵な曲だなと…。
姿月あさとさんの美しく、そしてあの突き抜けるような伸びやかな歌声。
可憐で気品あふれる、花總まりさんの舞台姿。
宙組生の端々に至るまで個性に溢れ、新たな組の誕生はそれはそれは華々しいものでした。
でも後に、当時のメンバーは本当に必死だったことが語られていて、1つの組が生れ落ちる瞬間というのは、多くの苦労と試行錯誤があったことも伺わせました。
宙組はそもそも、花月雪星から選抜メンバーが集められ、宝塚の組を越えた文化や個性が混ざり合い、生まれた組。
だからこそ、予測がつなかいような化学反応がおこったり、組替えによってトップスターが据えられたりすることで、常に「新しさ」を感じる組でした。むしろ、その新しさこそが宙組の「文化」「個性」となっていったように思います。
ですが、20年以上の歴史を重ねていくうちに、「なぜ、宙組で育ち、宙組で成長していくスターが真ん中に立たないのだろう」そう感じた方も少なくなかったでしょう。
宙組は、スタイリッシュ・長身・ビジュアル、そしてコーラスが強いなどの一般的イメージがあります。
私がそれを特に感じた時代が、「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」を観劇した時でした。
当時のトップスターは凰稀かなめさんで、博多座の最前列で観劇したあの日のことは今でも忘れられません。
美で圧倒されたのは、歌舞伎界の稀代の女形 坂東玉三郎さんの舞台を観て以来のことでした。
あまりの人間離れした「ラインハルト」の美しさ、そして歌声が澄み渡っていた実咲凛音さん、人柄の良さが滲み出た朝夏まなとさん。
他にも配役が全てぴったり過ぎて、皆さんが美しくて洗練されていて。フィナーレで風馬翔さんが涙している私を、ずっと優しく見つめてくださったのもいい想い出です。
この時観た舞台は忘れられない程に素晴らしかったし、皆が舞台人としてプロフェッショナルで、男役さんも娘役さんもとても大人で魅力的だな…と感じたことを思い出します。
この時、まだ下級生だった桜木みなとさん。初めてずんちゃんを観たのもこの作品。
この頃だったかな。桜木みなとさんが上級生から「すごくいい子」と言われていると、耳にしたんです。今でもとても印象的でずっと心に残っています。
そして、2回目にずんちゃんの舞台姿を観たのは、私が一瞬で愛月ひかるさんの虜になった「黒い瞳」です。
この時、シヴァーブリンという、いわば主演の「ライバル」「敵役」として、健闘されていました。ずんちゃんの普段の笑顔やホンワカした雰囲気とはうって変わり、作品のスパイスとして存在感を発揮。気持ちいいくらいに敵役に徹していました。
ですが、ショーの『VIVA! FESTA! in HAKATA』では「陽」の属性を感じさせる弾ける笑顔と元気いっぱいな舞台姿。大人っぽい上級生の雰囲気と対照的に、フレッシュさのある可愛らしい男役さんだなぁと。
礼真琴さんが大好きになった私は、そこから「こっちゃんの視点」で同期のずんちゃんを観るようになりました。
先日リリースされたこっちゃんのアルバム「REACH」のデュエットでパートナーに選ばれた男役さんは桜木みなとさん。繊細そうなずんちゃん。そのお人柄を感じる特典映像を観て、あの時の「すごくいい子」が実感として私の中に残りました。
こっちゃんとのデュエット、本当に素敵で…。
歌声の優しさやこっちゃんへの全面的なリスペクトが伝わってきて、もう本当に感動しました。
こっちゃんが、あえてずんちゃんをこの時期にパートナーに選んだことには、多くの想いが込められていると思うのです。でも、それを抜きにしても、こっちゃんがずんちゃんの歌声に惚れ込み、オファーしたことが納得のポテンシャルの持ち主だと思いました。
正直、自分でも驚いた。あの歌声を聴いて、ずんちゃんの歌を純粋にもっと聴いてみたいと思ったんです。すごく新鮮で、これからが楽しみになった。
桜木みなとさんが、宙組初の生え抜きトップスターに選ばれたこと。
たしかに、今この状況だからこそ組替えは考えられず「順当に、ずんちゃん」という側面は少なからずあるでしょう。
でもそれを抜きにしても、桜木みなとさんには、まだ開拓されていない魅力があると思うし、ポテンシャルを秘めているからこそ、トップスターという立場になった時に予測もつかないスパークがあるかもしれないとも感じています。
初の生え抜きということもあり歴代の宙組生の期待やエールを一身に受けるのだろうし、様々な意味で今トップに就任することで世間からも注目されるでしょう。
計り知れないプレッシャー、そして覚悟が必要な就任かもしれません。
ですが、こっちゃんと歌ったあの歌詞のように…
生まれたての笑顔、曇らせない、きれいなまま…
あの、弾けるような笑顔が曇らない、トップスター人生になりますように…
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