相手役を「慈しむ」から「敬愛」へ|礼真琴と舞空瞳の軌跡

礼真琴さんと舞空瞳さんを見ていると、宝塚歌劇の「トップコンビ制度」の多面的な側面を感じさせ、教えてくれます。

なこちゃん最後のNOWONSTAGE、礼真琴さん舞空瞳さん、そして暁千星さん、極美慎さん、天飛華音さんが座談会に出演されました。

とても和やかでよい雰囲気でありながら、馴れ合いのない舞台人としてのハイクオリティさも垣間見られる豊かな時間。

そんな今の星組の縮図のようなトークと空気感に触れ、本当に幸せな気持ちになりました。

なこちゃんが退団発表をして、こっちゃんは確実に変わったと私は思います。

いや、もしかすると変わったのではなく「もともと、そうであったことを、隠さずオープンにできるようになった」「そういう感情に自然になれた…」ということでしょうか。

ことなこがトップコンビを組んだ当初は、学年差もあり、(スミレコードですが)おそらく実年齢もかなり離れているであろうことも感じさせました。

また、積み重ねたキャリアも異なることから、礼真琴さんが舞空瞳さんに「教えてあげる」「与える」という構図は避けられなかったと思います。

当時こっちゃんは、惜しみなくなこちゃんに「与えてあげたかった」と思うし、どこかであらゆる事柄から「自分が守らねば」という心持ちだったかもしれない。

でも、数々の難局をともに、時には別々の場所で乗り越えてきたことで、その時間や信頼関係は特別なものとなったでしょう。

なこちゃんが卒業を控えた今、なこちゃんからこっちゃんへの「尊敬の眼差し」は変わることはありませんが、こっちゃんからはある意味「対等」、舞台人としてなこちゃんへの「尊敬の念」を表現する機会が格段に増えたことを感じます。

最近、リリースされたさまざまな書籍や映像などを見ることができて、こっちゃんの「今」の心の内を垣間見られることが増えましたね。

そのなかで、なこちゃんが登場することも多いし、なこちゃんに向ける眼差しがとても優しく、「尊重」して大切にされているのが伝わってきます。

それはきっと、これまでもそういう気持ちはあったのでしょう。

でも、さまざまな配慮からこっちゃんはあえて、なこちゃんを「特別視」して特別に愛情をかけているように見せないように心掛けていたのかなぁと思えてなりません。

なこちゃんを「守る」ためにも、「引き上げる」ためにも、ある意味、師弟関係のような緊張感を保った時期もあったのだと思います。

でもその根底には、「慈しむ」気持ちは常にあったのだなぁと…。

「慈しむ」

その言葉には、目下・年下の者を可愛がる、大切にするという意味があります。

もしかすると、トップ就任当初は、なこちゃんのポテンシャル、持ち味を尊重しながらも、この想いが強かったかもしれません。

でも今は、それが「敬愛」に変わっているように感じます。

今回の、NOWONSTAGEやananその他にも、さまざまな媒体で垣間見られるこっちゃんの心の内は、強くそう感じさせました。

本気で一つのことを共に目指し、高め合い、成し遂げる経験を重ねると、こんなにも人と人との繋がりが奥深く、尊いものになってくのだと、ことなこが重ねてきた8作、5年という月日が教えてくれます。

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私は、今ことなこが「星組のお父さん、お母さん」のような大きく包み込むような存在になっていることが、何だかとても嬉しくて…。

ずっとずっと前に、いつかそうなる日がきっと来るはず…。

そう、思っていたことが現実になった今が、本当に愛おしいです。

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ティアラアスール・ディスティーノの裸足のデュエットダンス。

お互いにスマホで先生の動画を観ながら、互いのダンスを見あってお稽古していたエピソードも話してくれていました。で、なこちゃんが「ちょっと早いです!」とかこっちゃんにアドバイスしながら、あの感動のダンスを生み出したのかと思うと、もう涙(/_;)(生で観劇したら号泣するだろうな…)

なこちゃんが、こっちゃんにそういう感じである意味「対等に」良い場面を作るべく、時間を重ねていることがわかって、もう私は本当に嬉しかった…!

こっちゃんのインタビューなどでも、毎公演なこちゃんと2人で反省会をしていることを話してくれていましたね。

互いが唯一無二の相手役だからこそ、今この時を互いが愛おしんでいるように感じるし、一瞬一瞬を噛みしめているように感じるんです。

「男役×娘役」という、美しき虚構の世界で…でも虚構ではない、確かな人と人との信頼関係や、尊い関係性がそこにあることを感じられた。

もうその時間が残り少ないと思うと切ないけれど、それと同時に、なんて素敵な時間を見せてもらっているのだろうとも思います。

相手役を「慈しむ」から、「敬愛」に変わるまでを、作品のドラマ性以上に、「ことなこ」お2人の辿ってきたドラマティックな姿でみせてもらって、胸がいっぱいになります。

この気持ちを拍手や言葉に変えて、ことなこがゴールを迎えるその日まで、大切に届け続けたいと思います。

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

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