私が宝塚歌劇を観始めた1999年以降しかわかりませんが、宝塚歌劇の歴史に刻まれる重要なキーワードのひとつは、「組替え」ではないでしょうか。
もちろん、「生え抜きトップスター」と呼ばれる、いわゆる1度も組替えせずに自組でトップスターになる、このスタイルも私はとても素敵だと思っていて、特別な想いもあります。
近年で言うと、星組の礼真琴さん♡、そして雪組の彩風咲奈さんがそう。宝塚OGであれば、元花組トップスターの柚香光さんもですよね。
でも、多くのスターさんたちが「組替え」を経験し、研鑽を重ねてトップに上りつめたり、2番手・3番手などのポジションで輝いたりと、やはり組替えには大きな「スパーク」があるように思います。
先日発売された、「TAKARAZUKA REVUE 2024」を見てみると、今の宝塚の全体像、そして「立ち位置」などが思った以上によくわかります。
そして、「やはり、そろそろ組替えが必要なのでは…」と決定的に思ったのは、月組全国ツアー公演である鳳月杏さん、天紫珠李さんのプレお披露目公演の稽古場風景を観たからです。
変わらない景色。それがほっと安心できる部分でもあるのですが、そこに水美舞斗さんが居る新鮮さよ…!
この新鮮さは、プレお披露目という重要なタイミングに貴重なエッセンスだと思いました。
しっかりと存在感を発揮し、輝いているスターさんが組替えをする。または、専科から特出する。
そのことで、組全体にフレッシュな風が吹き抜ける。
これは、何度観ても一ファンとしてワクワクして、心躍るものです。
多くのスターさんたちのお話から、組替えはメリットばかりでないことは重々感じています。だって、「違う国に来たくらい文化が違う」のですから…。組替えして、本当になじむのに2年はかかると話されていたスターさんもいらっしゃいました。
でも、同時に慣れ親しんだ組でくすぶっていた何かが「スパーク」して、自分らしさを見つけられたり、足りなかったモノを身に付けたり…。
デメリットに余りある素敵な部分があることも、過去に多くのスターさんたちのインタビューから知ることができました。
たとえば、元月組スターであった美弥るりかさんは、星組から月組へと組替えが決まった時「変われるかもしれない」とチャンスと捉えたのだそう。
元宙組トップスターであった大空祐飛さんは、月組→花組→宙組と組替えを経て上りつめられましたね。
ゆうひさんは、それぞれの組で自身に足りないものに気が付き、身に付けたうえでトップになれたことがよかった(ニュアンスです)と話されていましたね。
私は、ゆうひさんの月組時代(真琴つばささんトップ時代)をよく観ていて、スターひしめく当時の月組で個性を発揮しながらも、どこかくすぶっている印象を持っていました。
それから、組替えを経て個性とスキルに磨きがかかり、ついにトップスターに!!
ですが、その熟練の男役芸でこれまでにないトップスター像を築き、ゆうひさんの熱心なファンの方も一気に増えた印象。
そして、そのゆうひさんに学び、大好きな愛月ひかるさんはスーツも日本物のお衣装も艶やかに着こなす、素敵な男役さんになられました。
78期のゆうひさんの男役芸の一部が、93期の愛月さんに継承されたのです。それは、これだけ長く宝塚で男役の美学を伝え続けてくださったからにほかなりません。そしてその愛月さんから、綺城ひか理さん、極美慎さんなど、そしてさらに下級生へと組を越えて、そのエッセンスが引き継がれていることも感慨深いです。
…と、ちょっと話は横道にそれましたが…
何が言いたいかというと、やっぱり組替えが「きっかけ」になり自分らしさを見つけ、舞台人として飛躍する方もたくさんいらっしゃるということ。
宝塚歌劇団の置かれている状況、複雑な事情から、すぐに組替えができない状況であることは明白です。
ただ、感覚ではありますが組替えしなければ、「さまざまな事が滞留してしまう」空気感があるんですよね、今の宝塚…。
どなたが、どの組へ組替えするか…。それは、一ファンにはわかりませんが、おそらく、「TAKARAZUKA REVUE 2024」に単独で掲載されていた男役スターさん、2人映りの娘役スターさんのなかで、下記の方々は組替えの可能性があるのかなぁと何となく感じています。
【男役スター】
- 星組:極美慎さん(華やかさとキラキラ感、体幹しっかりしたダンス、お芝居力)
- 宙組:瑠風輝さん(大人の魅力、歌声、クールさ)
- 宙組:鷹翔千空さん(確かな歌唱力、現代的なスター性)
- 雪組:縣千さん(端正な顔立ち、ダイナミックなダンス、華やかさ)
- 月組:礼華はるさん(現代性と古風な雰囲気の融合がいい、お芝居力)
- 宙組:亜音有星さん(何が飛び出すかわからない、ワクワク感、華やかさ)
【娘役スター】
- 雪組:音彩唯さん(もう、すっかり仕上がっている感)
- 月組:きよら羽龍さん(もう、すっかり整っている感)
- 星組:詩ちづるさん(全てが整っているだけに、もう一歩先を見てみたい)
- 宙組:山吹ひばりさん(可憐さ、フレッシュさ、華やかさ)
- 月組:花妃舞音さん(花組っぽい雰囲気を感じる)
宝塚GRAPHでページを担当されたり、新人公演で主演をされたり、小劇場公演などで主演やヒロインをされたり…実力と華のある方々ばかり。
だからこそ、どの組に配属されても自身の個性を「特に」輝かせられる方ではないかなぁと…。
組替えはデリケートな問題なので、軽々しく言えないところもありますが、ただシャッフルが行われることで飛躍しそうだなぁと感じた方々ばかりです。
そして、今のままでも十分に輝かれているけれど、もう一歩先の「スパーク」が見てみたいなぁという想いもあります。
さて、今後、組替えはいつ行われるのでしょうか。
自組への愛は計り知れませんが、一方で「変わるきっかけが欲しい」と組替えを肯定的に感じている方もいらっしゃるでしょう。
組替えによってそれぞれの組で培ったものが持ち込まれることで、各組によい影響を与えることは多々あるのではないかなぁ、と…。そして改革されるべき点が、洗い出されることもあるかもしれない。
タカラジェンヌの皆さんが、心を擦り減らすことなく、魅力を開花できる組替えが行われれば、きっと宝塚歌劇は少しずつ変わっていく、そう感じています。
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