宝塚の上下関係、厳しい指導も「健全」なら美しい

先日スカイステージで放映された瀬央ゆりあさん出演の「夢の音楽会」、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

憧れの宝塚OGを招いて、デュエット&トークする番組。

今回は、せおっちが元星組トップスターの紅ゆずるさんを招いてコラボレーションされていました。

この番組が、あまりにもよくて泣いた(/_;)

宝塚の上下関係、そして厳しい指導について明るみになり、昨年の出来事から「令和の時代に合わない」「一般的な感覚から理解できない」と多くのバッシングを受けている宝塚歌劇団。

度重なる報道で(真偽の程はわからないにしても)、あまりにも酷い言葉が飛び交い、今も変わらず行き過ぎた指導が行われているのでは…と一ファンも辛い気持ちになることもあります。変わらなければならない体質は、まだまだ根深いものでしょう…。

でも、一方で温かく心が和むような素敵な人間関係や、成長プロセスだって、宝塚歌劇団には遠い昔から存在しているはず…と信じています。

ある側面からは、信じられないような改善すべき現実がある、一方で「家族的な」劇団だからこそ生まれる一体感や思いやりの心があるだろうことも感じています。

目次

瀬央ゆりあさんが「夢の音楽会」で招いたのは、紅ゆずるさん

で、今回のせおっちの「夢の音楽会#12「紅ゆずる・瀬央ゆりあ」

この紅さんとせおっちのやり取り、表情、デュエットしている姿、そしてこれまでのお2人の歩みを思い出すと、これこそ、宝塚歌劇の素敵な部分を凝縮したような「健全な上下関係・厳しい指導の未来の姿」だと思ったんですよね。

その理由は主に3つありました。

  • 紅さんがせおっちに伝えているアドバイス
  • お2人が互いをリスペクトしている姿(先輩後輩の間柄でも、リスペクトのある姿は見ていて気持ちいい)
  • 心からの笑顔(お2人の表情に、ほっこりする)

「私たちは似ている」ずっと気に掛けていた紅さん

紅さんは、せおっちの超下級生時代からずっと見守っていたのだそう。

新人公演で銀橋を歌いながら渡ることも初めてで、ヒョロヒョロになって「どっかいってしまいそう」なくらい緊張していたせおっちを、客席から固唾を飲んで見守っていた紅さん。

終演後は「よくやった…!!」(よっしゃーーー!!)的な感じですごく褒めたり、しっかりフィードバックしたりしていたそうです。

紅さんは、「こんなに仲良しの先輩後輩に見えると思いますけど、だいぶ厳しく言ってましたからね!(ニュアンス)」と話されていて、せおっちは「紅さんが仰ることなら、何でもすっと受け入れられる」(ニュアンス)とすかさず返していました。

だから、紅さんはどんなに厳しいことでも、安心してせおっちには言えたと話してくれていました。

この話を聞いて、天華えまさんに礼真琴さんが『阿弖流為』の時に、ぴーにとって今は大切な時だ!!と厳しく色々伝えたというエピソードを思い出したなぁ(/_;)その時も、「ぴーはしっかりとポジティブな力に変えて受け止めてくれるから、安心して言えた」(ニュアンス)とこっちゃんは話してくれていたんですよね。

映像で観たけれど、この時の、発光するような圧倒的リーダーオーラを纏う礼真琴さん、心動かされる素晴らしいお芝居に泣いた天華えまさん、そしてキャストの皆さんの姿、忘れられない…!

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こういう関係性って、健全だなぁと…。

「厳しい指導をする側」も、労力・気力を奪われる

厳しい指導は、凄く労力も気力も奪われるもの。でもその人の事を想うからこそ、一生懸命考え自分の時間を削ってでも相手がよりよくなるように伝える。

これが当たり前ではないことを知っているからこそ、せおっちもぴーちゃんも素直な心で吸収していったんだろうなぁと思いました。

もちろん、それが「厳しい指導」と称した「ストレスの捌け口」として全く相手の事を考えていない言動、相手を思っていたにしろ度を越したものであれば、あってはならないこと。

でも、一方で宝塚歌劇団に限らず芸事の世界では、こういう「健全な厳しい指導、上下関係」があるからこそ、素晴らしい芸が継承され人を感動させる素晴らしい舞台をつくってこられたのだなぁと、とても感じた番組でした。

羽ばたくせおっちを、優しく見守る紅さん

せおっちが、専科生となり今大きく羽ばたいていること。

紅さんはとっても嬉しそうで、親心のような気持ちで見守ってくれているそうです。

せおっちも、これから専科生としてたくさんの(他組の)人たちとかかわっていくことになるだろうから、どうコミュニケーションをとっていけばよいか…と相談されていました。

その紅さんの答えが、とても明快で納得感があってすごくよかった!

仲良くなるのが目的じゃない。よい舞台を創ることが目的。だからよい舞台を一緒に創ることに集中して、仲良くなることは脇に置いていい。気が合う人は、ほっといても気が合う。(ニュアンス)

これって、誰もが思うことかもしれない。でも、実際にその場に身を置くとこんなにも潔く思い至れないこともあるでしょう。

特に家族的にひとつの集団でひとつの舞台を創っていく宝塚歌劇団では、「人間関係の良好さ」は舞台姿や空気感にも如実に出てしまうもの。

だからこそ、人とのコミュニケーションや良い関係性を重視される気持ち、すごく理解できるなぁと思いました。

でも、あえてそう言い切った紅さんの客観性も素晴らしいと思ったし、宝塚歌劇団を外から見ている今だからこそ、力強くそう言えるようになったのかも…と、宝塚OGの居てくれる心強さも感じたのでした(*^^*)

終始、せおっちよかったね、こういうお姉さん(お兄さん?)が居てよかったね…と思いながら観てたよね(/_;)

健全な上下関係は、どの組にもあるはず…

それと、もう一つ観たスカイ・ステージ・トーク リクエストDX#72「壮一帆・水美舞斗」、水美舞斗さんが壮一帆さんを招いたトーク番組もよすぎて、またしても泣きました(/_;)

当時花組だったお2人の関係性も、凄く「健全な上下関係と厳しい指導」を感じたんですよね。でも、このお話は少し長くなりそうなので、また別の機会に…(^-^)

こうして、星組だけでなくさまざまな組の先輩後輩のお話を聞いたり読んだりしていると、宝塚歌劇団の構造は本当に多面的だと感じます。

そして、こういう関係性はせおっちと紅さん、マイティと壮さんだけでなく、さまざまな組、人たちの間で生まれているのだろうと想像できました。

一方で、やはり厳しい指導に使われる言葉や伝え方、表情などには人柄や品格、その時のその人のコンディションがあらわれるであろうこと、そしてどのような場面でも厳しい指導をするのにも思いやりとセンスは必要だと改めて感じました。

今回、紅さんとせおっちのお2人が、時を越えてデュエットしてくれたこと。

お2人とも、あの頃よりも歌唱力が素晴らしく向上しているだけでなく、表現力、まろやかさ、温かさや大きさが格段にブラッシュアップされていて、それにも本当に胸がいっぱいになりました。

宝塚の上下関係、厳しい指導も「健全」なら美しく、尊いものだと教えてくれた「夢の音楽会」でした(*^-^*)

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

コメント

コメント一覧 (2件)

  • お二人の関係性が、信頼と尊敬、愛にあふれたものだというのが、すごく伝わってきました。
    愛ある厳しさと、素直に受け入れる心…。
    naomi さんのブログを拝見して、大きく同意!しました。

    • そうですね、紅さんとせおっちの関係性、とても素敵だと思いました(*^-^*)
      厳しさの先に、こうして愛を持って包み込む言動がある…それをとても感じた音楽会でしたね。

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