【初・東京遠征記 完結】好きだ、『VIOLETOPIA』感想

長らくお付き合いいただいた【初・東京遠征記 】ひとまず、『VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)』の感想で完結です!

この作品に関しては、何だか今でも不思議な感覚が余韻として残っています。

自分がこの作品をどう思っているのか、生観劇してみてよくわかりました。

やっぱり、好きだ。

観劇して観て「今だからこそ、この作品が上演された」と強く思いました。

そして、もしかすると当初あった指田先生の『VIOLETOPIA』の構想から、何度も何度も変化をして今に至るのかもしれないとも…。

この作品が決まった時から今まで、色々なことがありました。109年の宝塚の歴史が覆るほど、110周年の祝祭感など、あるはずもない状況そのような混沌としたなかで生まれた作品なのだと…。

『VIOLETOPIA』の当初の作品紹介には、こんな言葉がありました。

ユートピア、ディストピア・・・。「TOPIA(トピア)」は「場所・郷」を表す言葉。「Violette(スミレ)」が、110年咲き続ける劇場、Takarazuka。そこにはいつも何かに魅了された者たちが集う。喝采、憧憬、熱狂、孤独、そして希望・・・。

時代や国を超え、劇場の光と闇を描く豪奢なレビュー作品。異界「VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)」に棲むもの達が、宝塚歌劇110周年の幕開きを盛大に祝います。

宝塚歌劇団オフィシャルホームページ

「異界「VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)」に棲むもの達が、宝塚歌劇110周年の幕開きを盛大に祝います。」

私には、この「110周年を盛大に祝う」という要素は感じられませんでした。この部分はバッサリ失われたのかもしれません。

その代わり、舞台に立つ者たちの奥底に流れるスピリット、想い、情熱…言葉では言い表せないくらいの熱いものが怒涛のように押し寄せる、混沌としたシーンが次々に追加された。そんな印象を覚えました。

『VIOLETOPIA』は、ただ美しいだけのキラキラした世界ではなかった。でも、今の星組に今のタイミングでめぐり会うべき運命的なものを感じました。そして、やっぱり愛おしい世界でした。

目次

とにかく美しかった礼真琴

とにかく、こっちゃんが美しかった。カッコいい!とかじゃなくて、どこまでも美しかった。虚ろな目も、儚い佇まいも、煽るような視線も、心からの笑顔も…ただただ、本当に美しい。その美しさに、何度も涙が出ました。

特に好きだったのは、プロローグ。こっちゃんが冒頭から登場し、舞空瞳さんが美しく煌びやかな「鳥」のようなお衣装で劇場を蘇らせてからの星組生のフォーメーション、妖艶で異世界に誘うような主題歌、こっちゃんの帝王のような姿…もう全てが素敵過ぎて、涙が溢れてきました。

このプロローグを観るためだけに、『VIOLETOPIA』を何度でも観劇したいと思えるほど素敵なプロローグ。映像で観ている以上に素晴らしいプロローグでした。

そこから、ことなこちゃんのラブ度が一気に上がる、ファンには嬉しいシーン!谷先生が語ってくれた「対等な信頼感」もはや、多くは語らなくても何もかもお見通し…そんなお二人の根底で繋がる絆を感じるおしゃれで大人なシーンに、心からときめきました!

妖艶で不思議な世界

サーカスの不思議さ、こっちゃんの人間離れした美しくも妖しい蛇のダンス、なこちゃんの少女性、極美慎さんの団長は美麗でありながら恐ろしさを感じさせて…。

龍の宮物語を思わせる、赤いお衣装の星組生たちの「夢に出てきそうな不思議な世界観」、一瞬で幕が落とされて舞台上に何もなくなる…サーカスの儚さ。今も目に焼き付いています。

中詰め、「リストマニア」2階席ではことなこの客席降りが全く見えなくて凄く寂しかったけれど、2階席にもたくさんの星組生たちがやってきてくれました。なんかもう、胸がいっぱいに。

「俺たちの力を見せてやる、見せてやる」

今の宝塚の置かれている状況、今目の前で輝いている皆さんたちの気持ちがこの歌詞に、この曲調にのってどっと迫ってくる感じ!!こっちゃんもなこちゃんも、ありちゃんも、星組生の皆も、銀橋にならんで腕を組んでの振りが大好きで!!あまりのパワーに気圧されて、涙が滲みました。

退廃的なキャバレーの女主人のなこちゃん、パンツ姿でクールに歌い踊る姿も素敵!男役の集大成、色気溢れる天華えまさんとのダンスも素敵でした。シャンパンの美女、ありちゃんの美しさは映画「シカゴ」や「ドリームガールズ」に登場しそうなほどのスケールの大きさ。

こっちゃんとのダンスも妖艶で目が離せませんでした!!

礼真琴さんがフードのついたオーバーサイズのダークなお衣装を纏って「孤独」へ…。このお衣装、賛否両論あるようですが、私はとてもいいと思います。トップスターだから誰よりも煌びやかなお衣装を…というのも素敵ですが、礼真琴さんが舞台人として上りつめているからこそ、削ぎ落されたお衣装でも余計に輝きが増すんです。

あのシーンは、あのお衣装、あの曲、あのスポットライト、あの振りだからこそあんなに心動かされたんだ。

礼真琴の孤独

「孤独」でこっちゃんが舞台上に登場したとき、スポットが2か所から照らされているのが、2階席からよく見えました。ひとつは光を、ひとつは闇を映し出しているような2つの影…。礼真琴さんが影と共に3人になったように見えたんです。

それがひとつになって、こっちゃんが踊り出す。渾身の力で、祈りを込めて…。

今の気持ちを全て「踊り」に込めたんだろうな、こっちゃんの言葉にならない気持ちを。なぜかそれを確信できた、心動かされる「孤独」のダンスでした。

素敵な退団者のシーン、ロケット、群舞

天華えまさんをはじめ、退団者の方が中心となった「エントランス・ノスタルジー」、クラシカルな洋画の一場面のよう。それまでの大渦に巻き込まれたような舞台上が、すっと静まって柔らかく温かな空気に包まれます。幸せそうに歌い踊る退団者の皆さんが眩しかった!

ロケットはフレッシュ感溢れていて、自然に手拍子が始まって!凝った振付のロケットで、とても素敵でした!

フィナーレからデュエットダンスまでの流れもドラマティックで、さまざまな解釈を呼び起こす構成。あの独特のサングラスですが、私はこんな解釈をしました。

あのサングラスは、「同調圧力」の象徴なのかも…

目は、人の顔の印象を決める最も大切なパーツ。その目を隠すことで「個」を消した状態でまるでAIに操られているように、同調を迫られて人としての感情やぬくもりなどを全て消して、誰と特定されることなく群衆として雑踏のなか踊る人たち。

でも、目を隠していたサングラスを外した瞬間、それぞれが生気に満ち自分の魅力を、自分の想いをダンスに乗せて解き放つ。

誰にも何にも縛られず、自分だけの人生を愉しむように…。

揃えることよりも、自分の芸名に合った自分らしい表情、ダンスをしているように見えたんです。そうして、「私は確かに此処に居る」と訴えかけているように…。

こっちゃんが、舞台下手に向かって顎をクイっとあげて「ガン飛ばす!!」みたいな仕草がありますよね、あれがもう声が出そうになったほどカッコよかった!!!!

「もっとこいよ!!」と煽っているような挑発的な視線がめちゃくちゃカッコよかった!!

あのサングラスは、「同調圧力」の象徴かもしれない。それに支配されそうになりながらも、ラストはやはり自分の力でその圧力を跳ねのけて、自分だけの「決め」の表情で終わる。

さまざまな解釈を訴えかける、不思議でクールな場面でした。

幸せなデュエットダンス、美しすぎるパレード

デュエットダンスは、おしゃれで大人。軽やかで繊細なんだけれど、少し遊び心もあって、こっちゃんの大人な余裕も、なこちゃんの淑女で少女な美しさも、何もかもが素敵で泣けてきました(/_;)ずっとずっと観たかった、礼真琴さん舞空瞳さんの並ぶ姿、デュエットダンス、観ることができた感動でもう幸せで満たされました。

パレードは、ぴーちゃんの響き渡るような素晴らしいエトワールから、プロローグもパレードもお衣装が抜群に美しくて品があっておしゃれで本当に素敵!!そしてやっぱり礼真琴さん舞空瞳さんのヘアメイク、アクセサリー、お衣装、大羽根なにもかもが過去一素敵で大好きでした!!

プロローグとパレードをエンドレスで観たい!!と思うほど素敵すぎたので、もう本当に胸がいっぱい。

実は、前半の場面で使われていた曲の不協和音のような音や、「ジャーン!!ジャーン!!」といった音が苦手で、使われていた音楽にちょっと辛くなったのは正直なところ。皆さんのダンスやお芝居心は本当に素敵だったので、心地よい曲調の曲がもっとたくさん盛り込まれていたら…とは思いました。

でもそれも何もかも、プロローグとリストマニア、孤独、デュエットダンス、パレードが、それらを凌駕するほど全てが素晴らしくて、そして何より礼真琴さんがこの作品を愛していることがひしひし伝わってきて。

時間が経って今思うことは、「その余韻さえも大好きだ」ということです。

私は、『VIOLETOPIA』が好きなんだ。

本当にシンドローム。

観ている時はもちろん、遠征から帰ってきてふとした時、自分のなかにその余韻が残り、目の前に『VIOLETOPIA』の異世界が広がるんです。残り香のように余韻を残すレビュー。

こんなにも先進的で、でもクラシカルで、挑発的で、優しい…不思議で美しい世界に居られたことを幸せに思います。

まるでこれまでの時間が夢だったかのように、幕が下りたら一瞬で客電がついてアナウンス。カーテンコールはなく、すっとまるで何もなかったかのように終わる舞台。

『VIOLETOPIA』の儚さを感じさせました。

初の東京宝塚劇場遠征を振り返って…

本当に心に残る素敵なひとときだったし、あの日比谷界隈が、東京宝塚劇場という空間がとても好きになりました。

宝塚歌劇は、本当にパワースポットだった。そして、やっぱり礼真琴さん舞空瞳さんが居るこの場所は、私にとってかけがえのない大切な場所だった。色んな迷いや葛藤を越えて、私はこのタイミングでこの場所に立つことなこトップコンビに会いに行くことができてよかったです。

また、必ずことなこが率いる星組公演を観劇したい!!礼真琴さん舞空瞳さん、星組が大好きだ!!

そんな自分の気持ちを改めて確かめることができて、忘れられない遠征になりました。

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

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