宝塚歌劇と「メディアリテラシー」:発信による軋轢

東京観劇旅について書こうと思っていましたが、先に書いておきたいな、ということがあるので今日はこの話題に触れさせてください。

あわせて読みたい
【東京・観劇旅1】星組『BIG FISH』観てきました!@東急シアターオーブ はるばる、再び行ってきました!! 東京観劇旅!! そして初の東急シアターオーブ!! 今年の3月に星組「RRR」「ヴィオレトピア」で初のことなこトップコンビを生観劇し...

礼真琴さん、舞空瞳さん、そして暁千星さん。星組3分割になり、どの公演も人気を博しなかなかチケットが取れない状態が続きました。

なこちゃんのミュサロはライブ配信で観て、こっちゃんのビッグフィッシュは幸運にも生観劇、ありちゃんの別箱はライブ配信で観れたらいいなと思っています。

これから書くことは、私の一個人の想いで、感覚なので、もし考え方の違いで不快に思われる方がいたらごめんなさい。

でも、これまでもぼんやりとずっと心のなかにあったもので、それをこの3分割ではっきりと感じたので、書いておきたいと思いました。

それは、「現役のタカラジェンヌが、自身の出演していない作品を観劇すること」、そしてそれに伴うSNSの発信・メディアリテラシーについてです。

目次

現役タカラジェンヌも、宝塚の作品を観たい

私はこれまで、基本的には「観客」の立場で舞台に触れてきました。

自分が心から観たいと思える作品を厳選し、チケットを購入し、劇場の座席に座る。

これが、至福の時です。

一方で、現役タカラジェンヌも、宝塚を「ファン目線」で好きという方が多いのはよく知られているところですよね。もともと宝塚ファンで入団される方も多く、入団前そして入団してからも、タイミングが合えば積極的に観劇されていることは、SNSなどで知ることもあります。

これはきっと、純粋に観たい!同期や上級生、下級生を応援する気持ち、そして「学びたい」という気持ちもあるでしょう。

一方で、現役タカラジェンヌは「作品を観客に提供する側」

誤解を生みたくないのですが、もちろん、こうして現役タカラジェンヌが観劇すること自体は良いと思うんです。それ自体を否定しているのでは決してありません。

観客として刺激や感動を互いに交換することは、きっと彼女たちにとって大切な時間だと思うから…。

ただ、いつも少しだけ違和感を覚えるのは、宝塚のチケットがなかなか手に入らない…と涙をのむ人がたくさんいて、たくさんの観客が観たいと思う作品であっても、「宝塚歌劇団現役生」が多数観劇しているという事実があることに、最近驚いています。

しかもそれを、誰もが知るようになったことも…。

これは確実に、SNSの影響だと思っています。

私も、最近になってSNSなどで「作品を提供する側」である現役タカラジェンヌが、観客とともに宝塚観劇するということを知ったので(あぁ、○○さん○○さんの舞台観劇されたんだ、よかったぁ!とほっこりする時ももちろんあるのですが…)、冷静に考えるとそれっていろんな意味で結構凄いことだなぁと。(宝塚OGは、博多座で観劇被りをしたことがあり知っていたのですが…)

私はてっきり宝塚歌劇団在団中の生徒さんたちは、スケジュールが合えば関係者として「ゲネプロ」などを観劇し、チケットはまるっと観客優先で販売されるものと思っていました。

「身内」だからこそ、観劇を遠慮する気持ち

いつか柚希礼音さんのお話で思い出したことがあります。

柚希さんのお身内の方は、どんなに前方の席を柚希さんが渡そうとしても固辞されていたと…。「お客様よりも前に座ることなんてできない、私は一番後ろでいい」(ニュアンスです)と…。

私、そのお話を聞いて、当時とても共感したんです。

ちょっと話はずれますが、結婚式などでも身内は当然一番末席に座ります。そして、主賓や友人など「お客様」を新郎新婦に近く、いわゆる「よい席」にと配慮する。

お客さんが来てくれたら、上座に座ってもらう。

例えば、洋服を売るお店でも、飲食店でも、さまざまなサービスを提供する仕事でもありすよね。たとえ仕事がない休日であっても、自分が所属する場所では何となくお客様を差し置いて、買い物したり、飲食をしたり、サービスを受けるって申し訳ない気がして、凄く遠慮してしまう。

ちえさんのお身内の方は、そういう感覚でおっしゃったのかなぁと。

そういう意味では、現役タカラジェンヌは作品を提供する側であり、「身内」という感覚なのかなと思っていました。

でも、どうやら宝塚歌劇団においては、長く「自身が所属する劇団の作品を、ゲネじゃなくチケット販売期間の客席から観劇する」そういう文化が続いているのですね。

「舞空瞳さんの気持ち」に想いをはせる

そういう意味で言うと、「礼真琴×舞空瞳」というスーパーコンビが、現役中に互いの舞台を観に行くのは、現実的に難しいと思うのです。

客席で混乱を招く可能性もあるし、客席に互いがいることで、舞台のパフォーマンスに影響が出たら…と思うと申し訳なくて行けないのかも…。

どちらかが卒業された後は、有り得る話だと思うんだけれど…。

舞空瞳さんのミュサロは、それでなくても数の限られたチケットでした。私も泣く泣く落選を受け入れました…(/_;)

たくさんの方が、行きたくても行けなかった…と涙をのんでいらっしゃるSNSもたくさん見かけました。

そんなプラチナチケットのようなミュサロに、星組生までかけつけたらどうなっていたかな。物理的に席は限られてしまう、それに配慮し、星組生はライブ配信などを選択したのだと私は思いました。(お稽古や公演スケジュールの関係というのも大いにあるとおもうのですが…)

反対に、なこちゃんがビッグフィッシュを観劇していない(と思われる)のも、きっとそういう理由なのかなぁと思っています。

特になこちゃんのお人柄を想像すると、きっと円盤にも残らない貴重なチケットを「立場的にこっちゃんの身内」のようななこちゃんが取ってはいけない、と遠慮していそうだなぁと、そう考えることはむしろ自然に感じました。

もし、タイミングやさまざまな条件が合ってなこちゃんの観劇が実現したら、それはそれで夢みたいなことで素敵なことだけれどね。

自身で発信できない現役生の「プライベート」への配慮は大切

何が言いたいかというと、そういう「身内」への配慮ってあるんじゃないかなぁということです。

そして、SNSなどで実名で何の舞台を観劇されていた、とすぐに情報拡散されてしまう現役生、宝塚OGの方々も大変だなぁ…と思います。ひっそり、こっそり観に行きたくてもSNSで拡散されてしまう時代…。

現役生が観にきている、観にきていない(と思われる)ことも拡散されてしまう。

宝塚OGの方はご自身で「宝塚観劇しました!」と発信されるケースもあるので、そういう場合は良いと思うのですが、ご自身で発信ができない現役タカラジェンヌの皆さんは「しんどい」と感じる方もいらっしゃるんじゃないかなぁと思います。

現役生のプライベートな時間を周りがSNSで発信するのは、やっぱり危険が伴うのではないかなぁ。誤解や混乱を招いたり、いらぬ軋轢を生んだりすることもあると思うから…。

もし、大好きな方にどこかで出会えるなんていう素敵な体験があったら…、ご本人の了承がない場合は、心の宝箱にそっとしまっておくことが、彼女たちを守ることにもつながるんだろうなぁと思っています。

SNSが溢れる今だからこそ、自分も含め今一度メディアリテラシーを見直しながら、大切な人たちが安心して舞台に立てる集中できる、そんな環境作りに少しでも協力できたら…と思います。

「読んだよ!」のクリック↓↓していただけたら嬉しいです

PVアクセスランキング にほんブログ村
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めまして
    宝塚は気になる作品がある時にチケットが手に入ったら観る程度のライトな客の感想です

    以前、SS席が当たり当日座ってたら同じ列に現役の生徒さんが座りました
    どこの劇団も劇団員が見学する機会はあったりしますが、例えば劇団四季なら一番後ろの見学ブースや後ろの席、または発売されていない席で見学されてます
    また元代表の浅利さんも一番後ろの席で観てたり、他の劇団の演出家も売れていない後ろの席、ファントムを演出した時の城田さんも大阪公演の時は後ろの音響ブースの前の席で観ておられました
    このように劇団や興行作品の劇団員や身内は後ろや見切れ席で観るのが普通です
    でも宝塚は違うんですよね
    いわゆる良席で身内である現役の生徒さんが観ると普通では考えられない事をする文化があるのが宝塚
    またその見学生徒さんが入ってくると拍手が起きたりとちょと異質なんですよね
    まぁ、宝塚だしなと思う一方、SS席という超良席に生徒を座らせる宝塚てどうなのよと思いますw

    • 初めまして。
      昔から宝塚が好きで、礼真琴さん舞空瞳さんが大好きで…このブログにもそんな気持ちを綴っています。
      ですが、宝塚歌劇団に対して甚だ疑問に思うこと、その文化になじめない部分はやっぱりあります。
      そういう違和感を覚えることが重なると、率直に残念で悲しく思うこともあります。
      宝塚歌劇以外の演劇界から俯瞰してみると、やはり独特の文化があるのかもしれません。

コメントする

目次