このところ、宝塚の作品を観ることができなかった。
そんななか、ふとスカイステージにチャンネルを合わせてみると流れてきたのが、天華えまさん主演の星組Bow Workshop『Stella Voice』でした。
満を持して「天華えま」さんが主演するこの作品は、ずっと気になっていてとても観たい、と思っていたので録画予約していました。
いつかゆっくりじっくり観られる時に…と思っていたのですが、映像から流れてきた裸足のコンテンポラリーダンス…星たちの魂のこもったダンスを観ていたらもう釘付けになってしまって…。
それから結局、幕が下りるまでずっとその姿を見つめました。
一人ひとりが輝く『星たち』の競演
主演の天華えまさん(ぴーちゃん)を筆頭に、星組の若手キャストが躍動していた舞台。「歌唱を中心としたワークショップ」でしたが、ダンスあり、トークありの充実した内容でした。
私は途中から観てしまったので1幕はわからないのですが、歌はそれぞれが選んだというソロの場面があり、それがもう本当に素晴らしくて…。
特に印象的だった方たちは…
碧音斗和(104期)「バラ色の人生」(オームシャンティオーム)
礼真琴さんが演じた「ムケーシュ」、先日もブログに書いたくらい素晴らしかったこっちゃんのムケーシュのjazzyなナンバー。104期の碧音斗和さんが、よく通る声で歌い上げ、こっちゃんの仕草や目線を物凄く研究されたんだろうなぁと、これからが楽しみになりました。
鳳真斗愛(102期)「僕の願い」(ノートルダムの鐘)
とても素敵な個性を持っているもえかちゃん、そのコメディセンスや持ち前の明るさが光を放ってはいるけれど、実は歌や表現力が本当に素晴らしい方だなぁと思います。それを初めて感じたのは、『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』の新人公演、唯一のヒール役「宰相オンブル(本役:綺城ひか理さん)」を演じた時のこと。抑えた凄味のあるお芝居、歌の巧さにもう魅了されてしまいました。そんな影のある大人のお役もできる、もえかちゃん。
代役公演では、その持ち前のコメディセンスと空気をガラっと変える爆発力で劇場を沸かせてくれたのだそう…。そんなもえかちゃんが、この「僕の願い」では表情に、歌声に、その佇まいにドラマが感じられて…まるで往年のミュージカル俳優のよう。自然と、涙がじわりと浮かびました。本当に、これからが楽しみな役者さんです。
二條華(100期)「あなたを見つめると」(スカーレット・ピンパーネル)
歌声がいつも素晴らしい二條華さん。タカラヅカニュースなどでもおなじみで親しみやすい雰囲気ですが、ステラボイスメンバーでは上級生娘役という立場。星組を象徴するような上級生娘役が続々と退団してしまった昨今、しっかりとこの作品の軸となり、大ナンバーを歌い上げた姿は頼もしさしかありませんでした。
本公演では、脇を固める若手スターたちがこうして舞台でソロで歌声を披露するって、そうそうない機会。『ステラボイス』はまさに煌めく星のごとく、学年に関係なく「一人ひとり」が輝く舞台だった。
「タカラジェンヌ」のひたむきな鍛錬の結晶
この作品のなかで、どっしりとでもしなやかに真ん中で輝いていたぴーちゃん。その品格、清らかさを感じさせる舞台姿、皆をまとめる兄のようであり若手キャストたちが慕うリーダー。
その姿が清々しくて、美しくて…。若手スターがこんなにも伸び伸びと、自分自身の魅力に向き合い発揮できたのは、ぴーちゃんという真ん中が居てくれたからこそだろうなぁと感じました。
指先まで神経の行き届いた、なめらかでしなやかなダンス。
凛とした歌声。
ほっこりと柔らかく温かさを感じる佇まい…。
ラスト近くになって、トップスターさながらの美しい装飾が施されたブルーのお衣装で登場したぴーちゃんは、まぎれもなく王子様のようで、宝塚の男役スターでした。
若手が力の限りを結集して作り上げた舞台を観ていると、「タカラジェンヌ」のひたむきな鍛錬の結晶を観たような気持ちになりました。
どの組の、どのタカラジェンヌだって日々こうして鍛錬して自分だけの輝きを追いかけているのだろう、と思います。だからこそ、宝塚の舞台には「ここ」にしかない輝きがあるんですよね。
花組 東京宝塚劇場公演、本日中止に…
花組 東京宝塚劇場公演『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』『GRAND MIRAGE!』が、急遽、本日 10月3日(火)の公演を中止にするというお知らせがありました。
出演者の心身の状況を考慮しての決定だそうです。公演の安全な実施が困難と判断した、とも記載されていました。
このような状況で公演を続行することは、どう考えても無理があった…。一ファンですら、このような気持ちでいるのだから…。公演中止期間についてどのような発表があっても、それはタカラジェンヌの皆さんの心に寄り添い、十分に配慮された結果なのでしょう。
今できるのは、静かにそっと見守ること、そして心を寄せることだから…。
今公演が行われている宙組、花組だけではなく星組、雪組、月組、専科さんだって…
とにかく今は本当に無理をせずに、時間をとって「心身を労わること」が優先されますように…。
読んだよ、のしるしに…。
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