礼真琴率いる「星組」が得たもの:全国ツアー公演千秋楽

星組全国ツアー公演が、中止期間を経て再開し、無事千秋楽の幕をおろすことができました。本当に気持ちの休まらない日々だったし、私ですらそうだったのだから星組の皆さんやスタッフ、関係者の皆さんは計り知れないプレッシャーを抱え大変だったことでしょう。

こっちゃんが千秋楽の挨拶でおっしゃっていました。

「私たちは、もっと強くならなければ!」

涙が出ました…(;_;)本当に日々が戦いであり「芸事」や「自分自身」にこれでもか!と向き合い、自分に厳しくされているタカラジェンヌが、それ以上に「見えない敵」との戦いにも心身を擦り減らしている…。

この世の中にはあらゆる職種がありますが、そのなかでも「生のエンターテイメント」を生業とする方たちは特に「ダイレクトに」影響を受けるのだ、と痛感した全国ツアー公演でもありました。わかっていたはずなのに、いざこっちゃんたちがその渦中にあると思うと、本当に身につまされました…。

目次

でも、得たものもある!

でもこの状況を経たからこそ、礼真琴率いる星組は得たものがあると思います。

それは、「どんな状況でも、前に進む力!ハイクオリティな舞台を魅せられる力!」

すごく抽象的な表現で申し訳ないのですが、これほどまでに主要キャストを含む休演者がいて人数が28人になっても、あれだけのクオリティの舞台を創り上げたこと。これは本当に、凄いことです。宝塚歌劇団がこういう決断をしたことも、こっちゃんたちがそれにしっかりと応えやり抜いたことにも、大きな意味があったと思います。

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それが実現したのは、礼真琴×舞空瞳「ことなこトップコンビ」の絶対的な安心感、瀬央ゆりあ×暁千星がそのふたりをがっちりと双璧で支え、娘役では何を任せても期待以上の有沙瞳がいる。さらに、上級生から下級生までが縦横無尽に自身の持てる力の120%を出し切って舞台を務めていたからこそ!

日頃の関係性や鍛錬から代役がしっかりと役割を全うできるだけの層の厚さもあり、これだけの素晴らしい舞台が成り立つということを実証してみせたのです。休演者の方々のことを想うと複雑ではありますが、でも代役を務めた面々の頼もしさを感じられたことは、本当に大きな発見でした。

星組キャスト別感想(敬称略、愛称あり)

礼真琴

こっちゃんは、とにかく頼もしかったですね。気迫が凄かったし、眼の色、瞳から放たれる光が鋭く強かった。いつにも増して大きな動きと遠目で観ても分かるであろう表情の豊かさは、お芝居・ショー共に目を惹きました。

『モンテ・クリスト伯』は、やっぱり思ったとおり今のこっちゃんにぴったりなお役だったと思います。特に青年エドモン・ダンテスはそのままのこっちゃんでキュン♡ときました。

でも、今回このお芝居で一番素晴らしかったと思うのは、牢獄に入れられて打ちひしがれている時…。

いい意味でこっちゃんのキラキラ感は封印されていて、伸びた髪の毛、傷と汚れだらけの顔、伸びきった髭、破れかぶれの服から見える傷も全てとてもリアルで…。これほどボロボロな状態をしっかりと魅せられるのって本物の役者さんになったんだなぁ、こっちゃん(/_;)と…。

ショースターなイメージが強いこっちゃんですが、こういうお芝居を情感込めて演じられて、しっかりと魅せられるのは役者としても本当に素晴らしいと思いました。

復讐が始まってからの凄味、いくつもの変装もどれも無理がなく、今のこっちゃんだからこそ巡ってきたお役なんだなぁと。ラストの親子のシーンは号泣でした(/_;)

『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』は、物凄い回数を公演してきた作品だけあり、こなれていましたね(*^^*)こっちゃんの歌声はどこまで進化するんだ!というほど伸びやかで、音のシャワーって感じ( ;∀;)本当に丁寧に歌われているのが伝わってきました。

ダンスはいわずもがな。力みも気負いもない、いい意味で自然体で…でも渾身の力が込められたダンスは相変わらずの素晴らしさ!中詰めのアドリブ「愛してるぜぇ!!!!」は、これまた渾身でした♡

この作品は、こっちゃんの代表作になると言っても過言ではないと思います。それくらい、こっちゃんの持ち味にぴったり馴染む素敵なショーでした。

舞空瞳

なこちゃんの母親役は以前から本当に絶品だと思っていたから、今回も期待大で観ていました。でも、その期待以上の素晴らしい母性愛(/_;)やはり、決闘を止めさせたいと懇願するシーンは泣けました…。

なこちゃんって、あんなに可愛らしい顔立ちなのに、お化粧によってしっかりと大人の女性の風貌になるんですよね。もちろん演じ方や声色などの工夫もありますが、彼女そのものも「大人」の階段を上っているのだなぁとしみじみ感じてしまいました。

でもやっぱり、船上結婚式の幸せそうな姿が一番似合う!こっちゃんとなこちゃん、本当の新婚さんみたいで観ていて幸せな気持ちになりました♡( *´艸`)あの寄り添い方や満面の笑みは、ことなこだけが醸し出せる世界観(*^^*)だからこそ、ラストシーンの雪解けが本当に泣けたし大人のおふたりの雰囲気もまた素敵でした。

ショーでは、舞空瞳ここにあり!という頼もしさに溢れていて、はっきりいってもう可愛いじゃない。「めちゃくちゃカッコイイです!舞空ねえさん!」って感じでした(*^^*)娘役、男役、どちらを引き連れて踊っていても、何と頼もしいことよ!こっちゃんが舞台上にいなくても、しっかり場面が締まり見応えがある。

つまり、舞空瞳自身のスター性が完全に開花した!ってこと。

本当に大輪の華だった。余裕を感じさせるほどの歌にダンス、魅せる力!地元に凱旋公演できて本当によかった、なこちゃん(/_;)地元の皆様観て~!!なこちゃん、こんなに立派になって帰ってきたよ!!(;_;)と、謎の立場になりこっちが勝手に誇らしくなるほどでした!

「神奈川県出身 舞空瞳!!」「はいぃぃぃ!!!!!!」

いや~、もう嬉しかったよね!あんなに舞台姿は頼もしいのに、自分の言葉で話す時にはいつものなこちゃんで( *´艸`)それがまた可愛らしくて、頑張れ!!とエールを送っていました。大好きで尊敬するこっちゃんと一緒に地元の舞台に立てたこと、本当に嬉しかったんだろうな(;_;)♡

瀬央ゆりあ

「俺がことなこトップコンビを支える!」と顔に書いてあると感じるほど、いい意味でどっしりとしていて本当に頼れる兄さんでした!

せおっち!本当にめちゃくちゃカッコ良かった!それは、舞台上の姿が…というだけでなく、何ていうんだろう…真の意味で覚醒した感じ!

お芝居ではしっかりと悪役を全うし、NOWONSTAGEでおっしゃっていたように「嫌われる」ほどに悪役を演じ抜いていました。せおっちの美しさがとても活きて、冷徹さが際立っていたしこっちゃんとの対比もしっかりと感じられてとてもよかったです。

ショーでも、その落ち着きと組を引っ張る力が増していました!プロローグのマント回しは何倍にも大きく輝いて見えたし、歌もダンスもより気合が入っていて感動(/_;)

パレードの階段降りでは、まさかの娘役を2人も見送りながらの歌唱!今のせおっちだからこそ説得力のある立ち位置だったし、その歌唱ぶりがカッコ良すぎて泣けました!本当に頼もしくなったね…せおっち…と感動しっぱなしでした。

暁千星

星組に組替えが決まった時からきっとありちゃんは星組似合うよね、と思ってはいたものの、舞台を観るまではどんな化学反応になるのか正直想像もつきませんでした。もしかして、やっぱり私は少し違和感を抱いてしまうのかな…と。

でも、お芝居で第一声を発した時から、もう一瞬で心配は飛んで行ったね!(*”▽”)

そうなんですよ!違和感なし!( ;∀;)

ありちゃんの可愛らしさは良い意味で封印されていて、頼もしさや男らしさがしっかりと生きていることにまず驚き!星組のキラキラ感にしっかりとなじむありちゃん(*”▽”)何より、舞台上のどこにいてもしっかり存在感があるし、目を惹くスター性が増しに増していました。

AーANは何度も映像を観返すほどとても好きだから、あの時のありちゃんの印象が強いんです。弟キャラだと思っていたありちゃんも、もうすっかりお兄さんなんだね…(/_;)とても頼もしくカッコ良かったです!

特に印象的だったのは、ベルツッチオとしてストーリーテラーの役割をしつつ、そのなかで別の人を演じるシーンがあったんです(→意味伝わるかな?)その時、瞬時に位の高い雰囲気と威厳を出して、帽子を取ったとたんまたベルツッチオに戻るっていう、物凄い早業をやってのけたわけですよ(*”▽”)それが、すごく巧くて唸りました!

ショーでは、これまた存在感があってカッコ良かったなぁ!ことなこ、せおっち、そしてありちゃんが次々に登場して、どの場面も見応えたっぷりで人数の少なさなんて全く感じなかった!

特によかったのは、ロケットが始まる前に歌っていた「アデランテ」!太く低めの声と伸びやかな歌声、明るくて希望に満ちていて、でも深みもあるその歌声やダンスが本当に素敵でした!ありちゃんの歌からロケットの流れ、何だか泣くシーンじゃないのに感動して泣けてきました(;_;)

正直、こんなにありちゃんが星組に早い段階でなじんで、こんなに一体感があるなんて想像以上だった!こっちゃんをはじめ星組の皆、そしてありちゃんもしっかり努力して一気に絆が深まったんだろうなぁ(*^^*)

上級生キャストも大活躍!

組長美稀 千種さん、ちぐさんのファリア司祭は絶品でした。それしか言えないくらい、本当に素晴らしかったです。出番は少ないものの、その言葉のひとつひとつが心に残り本当に素晴らしいお芝居をする方だなぁと再確認。ショーでは、ボッチで登場するもしっかりと盛り上げ、こっちゃんにハグされて「きゃ♡」となる可愛らしい表情にもほっこりしちゃいました(*^^*)

ダングラール役の輝咲 玲央さん、悪役が似合いすぎ!本当に貴重な存在感で、いつまでも宝塚でさまざまな役を演じてほしい方のひとりです。ただ悪いだけでなく、人間のいやらしさ、弱さまでしっかりと表現できる緻密なお芝居が素晴らしいです。長身でどっしりとした体格も男役らしく、色気もありお芝居ショー共に大活躍でした!

復帰した有沙瞳さんは、エロイーズ役で安定の芝居巧者ぶり!圧倒的ですが、しっかりと代役の夕陽 真輝さんをを立てて出過ぎない絶妙な役作りだったのかなと思います。ショーでは、こっちゃんとのデュエットが絶品でした!大劇場では美穂圭子さんが歌われていた曲だったかと思いますが、有沙瞳色に染め上げて圧巻のシーン。こっちゃんといい意味で対等に戦うような歌いぶりに魅了されました(*^^*)

下級生キャストも大活躍!

蒼舞 咲歩さん(さきっぽ)、鳳真 斗愛さん(もえかくん)のことは、速報で語りましたが特に印象に残ったふたりです。本当にこれからが楽しみ!こういう機会が与えられたからこそ飛躍できた、というのもあるかもしれません。やっぱり真面目に芸を磨き続けると、こういう時に輝けるんだなぁと感動しました!

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天希ほまれさんは、特にショーで目を惹きました!何あの色気たっぷりの表情と前髪は!(*”▽”)画面を観ていて、カッコイイ人いるな~と思ったら天希さんでした。美形なことはわかっていましたが、最近はそれだけじゃない大人の雰囲気+αがくわわったなと思います。

都 優奈さんは、大人っぽい存在感と何と言っても歌の巧さが光りました!福岡県出身ということで、すごく親近感!星組の大きな力となる、次世代の歌姫誕生ですね!すでに美穂圭子さんのDNAを感じます。

エデ姫役の詩 ちづるさん。めぐ会いの双子ちゃんがとても似合っていましたね。エデ姫はとても挑戦のお役だったのではないでしょうか。ショーでは、なこちゃんのすぐ後ろで踊る姿が大劇場の時よりもぐっと大人っぽく感じられました。これからが楽しみです。

アルベール役の稀惺 かずとさんは、瑞々しくてこのお役がとてもはまっていました!真っ直ぐで聡明な雰囲気がとても似合っていて、大好きな愛月ひかるさんが演じられた役ということもあり、より感情移入して観てしまいました。いい意味で控えめな印象があるのですが、これからもっと存在感を増して頑張ってほしい(*^^*)

何段も階段を上った星組!

こんなにも困難な状況のなか、こんなにハイクオリティな舞台を届けてくれる…それだけで感動したし、本当に勇気と元気をたくさんもらいました!星組は二手に分かれての公演でしたが、それぞれのチームが大きな力を蓄えた期間だったと思います。そして、それによって何段も階段を上ったようなそんな気がしました。

余談ですが、フィナーレで星組全員が並んだとき、大羽根を背負ったこっちゃんとなこちゃんを中心に、せおっちとありちゃんが双璧で両側を片羽根で囲っている…。この構図を観たときに、あぁ今の星組のパズルが完全にぴったりとはまったなと思ったんです。この図は、何だか言葉で表せないほど感動的でした。

幼い表現ですが、ありちゃんが居ることで、せおっちがより頼もしく大きなお兄さんに見える。せおっちが居ることで、背伸びせずそのままのありちゃんの魅力を伸び伸びと開花できる。そんな持ち味の違う長男・次男感がすごくいい!!!!!

次回作までは少し時間が空きますが、2022年のラストを飾るのは2022年11月12日(土)~12月13日(火)『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』『JAGUAR BEAT-ジャガービート-』です。星組全員が揃って舞台に立てること、それがどれほど難しいことか実感しましたが、でもそれでも「全員揃って舞台に立ってくれる」ことを信じて、次回作の情報を待ちたいと思います!!

星組全国ツアー、素晴らしい公演と感動を有難うございます!

星組パッション!!!

星組、最高!!!!

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宝塚ファン歴20数年、福岡在住、このブログを運営しているnaomiです。

このブログは、アメブロで2011年に開設した「TAKARA座」を前身として、大好きな宝塚のこと、これまで観劇した作品について語っています。

筆者の詳しい自己紹介はこちら→https://takaraza.com/profile

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